3月5日の米国株式市場は主要3指数がそろって下落した。NYダウは784ドル超(-1.61%)の大幅安で47,954.74ドルに沈み、前日まで保っていた年初来プラスを割り込んだ。S&P 500は-0.56%の6,830.71、NASDAQは-0.26%の22,748.99と比較的底堅さを見せたが、下落は免れなかった。主な売り材料は2点。①イランが石油タンカーをミサイル攻撃したとの報道を受けてWTI原油先物が約8%急騰し、2024年7月以来の高値となる1バレル81.01ドルに達したこと。②米政府がNvidiaやAMDのAIチップについて、輸出に事実上世界規模でライセンスを求める新規制を検討しているとの報道。この2つのリスク要因が重なり投資家心理が悪化した。VIXは23.75で高止まりしており、市場の警戒感は根強い。
イラン紛争とAI輸出規制懸念で主要指数続落
2026年3月5日の米国株式市場は、イランが石油タンカーをミサイル攻撃したとの報道でWTI原油が約8%急騰し、インフレ再燃懸念が拡大した。さらにAIチップの輸出規制強化報道が半導体株を直撃。NYダウは784ドル超下落し、航空・素材・工業セクターが大幅安となった。VIXは23.75と警戒水準が続いている。
市場概況
セクター動向
エネルギーセクターはWTI原油急騰を受けて唯一の主要上昇セクターとなり、石油・ガス探鉱生産ETF(XOP)は2%超上昇し、2022年6月以来の高値を記録した。一方で最大の下落セクターは素材(S&P 500素材指数:-2.4%)と工業(-2.3%)。原油高によるコスト上昇がサプライチェーン全体に波及するとの懸念が売りを呼んだ。航空セクターも燃料コスト上昇を嫌気して大幅安。また生活必需品セクターも軟調に推移した。情報技術セクターはAIチップ輸出規制懸念で半導体株が売られたが、NASDAQ全体のマイナス幅は他指数対比で限定的にとどまった。
注目銘柄
- ユナイテッド航空 (UAL): -5%超 — 原油価格の急騰による燃料コスト上昇懸念から、S&P 500構成銘柄中で最大級の下落となった。
- デルタ航空 (DAL): -5%超 — 同様に燃料コスト圧迫への警戒感が強まり、航空セクター全体の売りをリードした。サウスウェスト、アメリカン、ジェットブルーも4%超の下落。
- エヌビディア (NVDA): 約-2.5% — 米政府がAIチップの輸出許可制度を事実上グローバルに拡大する規制案を検討しているとの報道が直撃。
- AMD (AMD): 約-3.4% — Nvidiaと同様にAIチップ輸出規制強化報道の影響を受け、半導体セクターへの売りが波及した。
- バレロ・エナジー (VLO): 上昇(52週高値更新) — WTI原油の急騰恩恵を受け、マラソン・ペトロリアム、フィリップス66などとともに年初来高値圏で推移した。
債券・為替市場
米10年国債利回りは約4.09%付近で推移した。原油高によるインフレ再燃懸念が債券売り(金利上昇)圧力をかけた。為替市場ではドル円が157.02円付近で推移し、前日比でわずかに円高方向へ動いた。中東情勢をめぐる地政学リスクを背景に、安全資産としての円への資金流入も一部見られた。国際指標原油のブレント原油先物は約5%上昇し85.41ドルで引けており、エネルギー価格全般の上昇がインフレ見通しに影響を与えている。
今後の注目ポイント
①2月雇用統計(非農業部門雇用者数):翌3月6日(金)に発表予定。FRBの金融政策見通しに直結する重要指標であり、雇用の底堅さが確認されるか注目される。②イラン紛争の展開:石油タンカー攻撃後も緊張が継続しており、ホルムズ海峡通航への影響やさらなる原油価格上昇リスクが市場の最大の注目点。③AIチップ輸出規制の動向:米政府が検討する新たなAIチップ輸出ライセンス規制の詳細・最終化のタイミングが、半導体株の行方を左右する重要材料となる。
