3月10日の米国株式市場は、イランをめぐる地政学的緊張と原油価格の急落が交錯する中、主要3指数は小幅な値動きに終始した。トランプ大統領がイランとの軍事衝突が「近く終結する可能性」を示唆したことで、WTI原油先物は11.94%急落して1バレル約83.45ドル、ブレント原油も11.28%下落して約87.80ドルと大幅に値を下げた。これにより当初のリスクオフムードは後退したものの、依然として地政学リスクへの警戒感が残り、指数は大きく上昇する場面もあったが引けにかけて伸び悩んだ。VIX指数は24.93と比較的高い水準を維持し、市場参加者の不安心理が続いていることを示した。
米国市場3/11 07:03 JST 時点のデータ
イラン情勢と原油急落、米株は小幅な変動に留まる
2026年3月10日の米国株式市場は、トランプ大統領がイランとの紛争終結を示唆したことで原油が急落したが、主要3指数は小幅な値動きに留まった。S&P 500は-0.21%、NYダウは-0.07%、ナスダックはほぼ横ばいの+0.01%。VIXは24.93と高止まりし、市場は依然として地政学リスクを警戒している。
S&P 500
6,781.48
-0.21%
NYダウ
47,706.51
-0.07%
NASDAQ
22,697.10
+0.01%
VIX
24.93
市場概況
セクター動向
セクター別では、テクノロジーが+0.10%、コミュニケーション・サービスが+0.06%、金融が+0.04%といずれも小幅上昇にとどまった。原油価格の急落を受けてエネルギーセクターは下落圧力を受けた一方、航空・輸送セクターはジェット燃料コスト低下への期待から買いが入る場面もあった。ただし、イラン情勢の不確実性から積極的なリスクオンの動きには至らず、全体として値動きの乏しいセッションとなった。
注目銘柄
- バーテックス・ファーマシューティカルズ (VRTX): +7.85% — IgA腎症(免疫グロブリンA腎症)を対象としたフェーズ3試験「RAINIER」で主要評価項目を達成。実験的腎疾患薬「ポベタシクレプト」がベースラインからUPCRを52%低減し、株価は急騰した。オッペンハイマーやHCワインライトなどが目標株価を引き上げた。
- センテン (CNC): -8.58% — CEOがバークレイズ・ヘルスケアカンファレンスにおいてマネージドケア事業の継続的な逆風を明らかにしたことが嫌気された。同日に12億5千万ドル相当の社債の一部償還も発表。
- アメリカン航空 (AAL): -2.88% — 複数のアナリストがセクター全般の需要圧力を理由に目標株価を引き下げたことで下落。出来高は通常の約2倍に達した。
- オラクル (ORCL): 時間外取引で+10% — 引け後に発表したFY2026第3四半期(2月期末)決算がコンセンサスを上回った。売上高は前年比+22%の171.9億ドル、クラウド収益は+44%の89億ドルと好調。インフラビジネスは+84%と加速。経営陣はFY2027通期売上高予想を1,000億ドルに引き上げた。
債券・為替市場
米国債市場では、イラン紛争を背景としたフライト・トゥ・クオリティの動きが継続し、10年国債利回りは一時3.96%まで低下した(前営業日3月9日の終値は4.13%)。政府機関閉鎖への懸念も加わり、国債市場は「乱高下(ワイルドライド)」と報じられた。為替市場では、ドル円が157.39円(前日比-0.18%)と小幅ドル安円高。日本は中東からの原油依存度が高いため、原油急落はプラス材料として受け止められたが、安全資産としてのドル選好も一部残った。
今後の注目ポイント
- 3月11日(水): 2月消費者物価指数(CPI)が米東部時間午前8時30分に発表予定。インフレ動向とFRBの利下げ見通しへの影響が焦点となる。
- 3月18日(水): FOMC政策決定会合(声明発表)および2月生産者物価指数(PPI)発表が予定されている。
- 3月19日(木): フィラデルフィア連銀製造業景気指数の発表予定。
- イラン情勢: トランプ大統領の紛争終結示唆後も、中東の地政学リスクは引き続き株式・原油市場の主要テーマとなる見込み。停戦交渉の進展いかんによっては市場のボラティリティが再び高まる可能性がある。
