2026年6月11日の米国株式市場は主要3指数が大幅反発し、2日続落からの反転となった。トランプ大統領がイランとの核合意が「最終段階」にあるとして米軍の追加攻撃を中止し、原油価格が約86ドルに低下したことが投資家心理を好転させた。S&P500は1.75%高の7,394.30、ダウ平均は930ポイント超高の50,848.75、NASDAQは2.54%高の25,809.66でそれぞれ終了。VIXは12.51%急低下し19.44と、リスク回避姿勢が急速に和らいだことを示した。テクノロジー・半導体セクターが上昇を主導する一方、同日発表の5月生産者物価指数(PPI)が加速を示したことでFRBの年内利上げ観測が高まり、ソフトウェア大型株の一部は急落した。
イラン核合意接近でNASDAQ2.5%急騰・VIX急落
2026年6月11日の米国株式市場はトランプ大統領によるイランとの核合意「最終段階」発言を受け急反発。S&P500は1.75%高の7,394.30、NASDAQは2.54%高の25,809.66と大幅上昇。VIXは12.51%急低下。半導体・宇宙関連株が相場を牽引した一方、オラクルはCAPEX膨張懸念で急落した。
市場概況
セクター動向
半導体・半導体製造装置セクターが最大の牽引役となった。KLAコーポレーション(KLAC)が12.92%、オントイノベーション(ONTO)が12.70%高と急騰し、AI向け需要増加期待とアナリストによる相次ぐ目標株価引き上げが寄与した。メモリ半導体ではサンディスク(SNDK)が14.50%高と急騰し、AI向けNAND需要拡大の恩恵銘柄として機関投資家の買いが集まった。防衛・宇宙セクターでは米宇宙軍の大型契約獲得を背景にバイアサット(VSAT)が18.23%高と全市場トップの上昇を記録。韓国Eコマースのクーパン(CPNG)もデータ侵害罰金が想定最大値を大幅に下回る水準で確定したことなどを受け14.09%高となった。一方、エンタープライズソフトウェアセクターは苦戦し、PTC(PTC)が12.36%急落、オラクル(ORCL)が8.61%、アドビ(ADBE)が6.48%それぞれ下落した。
注目銘柄
- バイアサット (VSAT): +18.23% — 米宇宙軍の「Protected Tactical SATCOM-Global(PTS-G)」プログラムの主契約を獲得。同プログラムは上限総額40億ドルの軍用衛星通信整備計画で、バイアサットが最初の衛星建造・打ち上げ・5年間の運用支援を担当する。安定した長期政府収入源としての評価が高まり急騰した。
- サンディスク (SNDK): +14.50% — モルガン・スタンレーがAI主導のメモリサイクル長期化を根拠に業績予想と目標株価を大幅引き上げ。メリアス・リサーチも半導体「ボトルネック」銘柄として長期目標値を増額し、DRAM・NAND供給制約下でのAI需要急増の恩恵銘柄として機関投資家の買いが集まった。
- KLAコーポレーション (KLAC): +12.92% — カンター・フィッツジェラルドが目標株価を2,500ドルに引き上げ(Overweight維持)、バークレイズも2,250ドルに増額。2027年の世界ウエハー製造装置(WFE)支出予測を2,095億ドルに大幅上方修正。加えて取引終了後に効力を発する10対1の株式分割が発表され、複数の好材料が重なった。
- PTC (PTC): -12.36% — FY2026第2四半期決算では売上高・EPS双方で市場予想を上回ったものの、翌四半期の収益ガイダンスが市場予想を下回ったことが嫌気され急落。過去1か月でコンセンサス予想が平均15%超下方修正されており、ガイダンス失望への市場反応が増幅された。
- オラクル (ORCL): -8.61% — FY2026第4四半期は売上高21%増(191.8億ドル)、クラウドインフラ(OCI)93%増など全指標で予想超過。しかしFY2027の設備投資計画を700億ドル+部品前払い200〜250億ドル(合計最大950億ドル)と開示し、FY2026比2倍超の支出規模と追加400億ドルの社債・株式発行方針がフリーキャッシュフロー悪化・希薄化懸念を招いた。
為替・金利動向
ドル円は1ドル=160.12円付近(前日比0.26%円高)で推移した。米10年国債利回りはイランとの核合意報道を受けた原油価格の下落(約86ドル付近)を背景に低下圧力がかかり、4.52%付近で推移した。ただし同日発表の5月PPIが加速を示したためFRBの年内利上げ観測が再燃し、債券市場は神経質な動きを見せた。ドルインデックスは地政学リスクの後退を受けてやや軟化し、米国株の大幅反発と連動したリスクオンの流れがドル高を一部抑制した。
今後の注目点
翌6月12日にはSpaceXのIPOが予定されており、テクノロジー・宇宙防衛セクター全体の投資家心理への影響が注目される。イランとの核合意については署名手続きが数日内に行われる見通しとされており、最終合意の成否が原油価格・地政学リスクプレミアムを左右する。5月PPI加速を受けたFRBの政策動向も引き続き焦点で、次回FOMC会合での利上げ議論が市場を動かす可能性がある。アドビ(ADBE)のQ2 FY2026決算は6月11日引け後に開示されており、翌日以降の株価反応と詳細ガイダンスが注目される。またKLAの10対1株式分割(6月11日終値後に実施)が翌日の需給面に与える影響も観測される。
