6月26日の米国株式市場は三指数そろって小幅安で引けた。S&P500は7354.02ポイント(-0.05%)、ダウ平均は51876.11ドル(-0.09%)、ナスダック総合は25297.62ポイント(-0.24%)。ニューヨーク・タイムズがOpenAIのIPOを来年以降へ延期する可能性を報じたことでAI関連・チップ株に売りが波及し、Nvidia(-1.6%)、Broadcom(-3.7%)、Micron(-6.7%)が大幅安となった。一方、ホルムズ海峡でのタンカー通航確認により原油価格が低下してインフレ懸念が後退し、午後にかけて主要指数は下げ幅を縮小。バイオテク・クラウドSaaS株の強さが相場の下支えとなった。恐怖指数VIXは18.41(-2.54%)に低下し、市場の過度な警戒感は和らいだ。
半導体急落も指数は小幅安、バイオ・SaaS株が急騰
2026年6月26日の米国市場はS&P500が-0.05%と小幅安。NYタイムズによるOpenAI IPO延期報道で半導体株に売りが広がり、ON半導体が-23.66%急落。一方モデルナ(+12.59%)はFDA諮問委員会がインフルワクチンを9-0で支持し急騰。ServiceNow(+10.34%)・DraftKings(+11.26%)も大幅高。VIXは18.41(-2.54%)に低下した。
市場概況
セクター動向
ヘルスケア・バイオテクが全セクター中最大の上昇を見せ、モデルナ(+12.59%)を中心に買いが集まった。クラウド・エンタープライズSaaSも好調で、ServiceNow(+10.34%)、JFrog(+11.14%)、Guidewire Software(+10.34%)がいずれも二桁上昇した。スポーツベッティングではDraftKingsが+11.26%と急伸し、予測市場ビジネスへの期待が高まった。半導体・ストレージセクターはOpenAI IPO延期懸念とAIメモリ需要減速報道が重なり全面安となり、ON半導体(-23.66%)、Bloom Energy(-17.63%)、Western Digital(-13.17%)、Seagate Technology(-12.24%)、FormFactor(-12.11%)が大幅下落。ダウ構成銘柄ではCaterpillar(-5.67%)、Cisco Systems(-4.56%)、Goldman Sachs(-4.07%)など景気敏感株も売られた。
注目銘柄
- Moderna (MRNA): +12.59% — FDA諮問委員会が6月26日、モデルナのmRNAインフルエンザワクチン「mFLUSIVA(mRNA-1010)」について50〜64歳および65歳以上の成人を対象に9対0の全会一致でリスク・ベネフィット比が良好と判断した。8月5日のPDUFA審査期日への承認期待が急騰を後押しし、前日の「サイエンスデー」で発表した腫瘍免疫・自己免疫・希少疾患向けmRNAパイプラインの深化も投資家心理を好転させた。
- ServiceNow (NOW): +10.34% — IBMとの多年契約拡大(watsonx・Red Hat・Instanaなどを統合)、HPEのGreenLakeデータをAIサービスに活用する新提携を相次いで発表し、AIプラットフォームとしての存在感が強まった。BenchmarkがBuy継続で目標株価を125ドルから130ドルに引き上げ、「SaaSで最も明確なオペレーションモデル」と評価したことも買い材料となった。
- ON Semiconductor (ON): -23.66% — 同社が70億ドル規模のSynaptics買収を発表し、大規模な株式希薄化への懸念が急落を招いた。NYタイムズによるOpenAI IPO延期報道が半導体セクター全体の売り圧力を強める中で、ON半導体は最も大きな下げを記録した。AIチップサイクルの鈍化懸念も重なり、投資家の売りが加速した。
- Bloom Energy (BE): -17.63% — Jefferies証券がライバルのFuelCell Energyをホールドからバイに格上げし「Bloom比での深い割安感」を指摘したことで資金シフトが起きた。ChevronとMicrosoftがAIデータセンター電源に天然ガスタービンを採用したと報じられたほか、米エネルギー省が175億ドルの原子力融資を発表し、燃料電池技術の競争優位への懸念が拡大。直近12カ月で1300%超上昇していた反動の利益確定売りも重なった。
- Western Digital (WDC): -13.17% — 6月22日に確定したSanDisk株とWDC普通株の交換(100万株超)に加え、2028年満期の転換社債8億5840万ドル分を現金と2130万新株で償還する交渉成立を発表。二重の株式希薄化圧力が売りを招いた。SK Hynixが先端AIメモリの増産計画を見直したとの報道が示すAIデータセンター向け需要の頭打ち懸念も重しとなり、連日の下落が続いた。
為替・金利動向
為替市場ではドル円が161円59銭付近で推移し、前日比-0.12%とドル小安で引けた。日本銀行の上田総裁が経済・物価動向に応じた追加利上げ継続姿勢を改めて表明し、6月会合のオピニオンサマリーで複数の委員が物価目標2%への進捗を踏まえた利上げ継続を支持したことが円を下支えした。米ドルインデックス(DXY)は101.25(-0.19%)と小幅軟調。米10年国債利回りは4.41%付近で安定的に推移し、原油価格の低下によるインフレ懸念後退を受けて大きな上昇は見られなかった。半導体株の急落によるリスクオフの動きと、VIX低下が示す落ち着いた市場心理が混在する一日となった。
今後の注目点
モデルナのインフルエンザワクチン「mFLUSIVA」のFDA最終承認審査(PDUFA期日:8月5日)が引き続き最大の注目材料。半導体セクターでは、OpenAI IPO計画の正式発表時期や各社のAIデータセンター向け設備投資ガイダンスが株価動向を左右する。DraftKingsの予測市場取引所「DKeX」については、CFTC規制との整合性と収益化ペースが持続的な株価上昇の鍵となる。為替面では日銀の次回会合(7月予定)での利上げ決定の有無がドル円の方向性を左右する可能性が高い。マクロ面ではFedの年内利上げ回数をめぐる市場コンセンサスの変化と、ホルムズ海峡の情勢を含む中東地政学リスクの動向が引き続き重要な注目点となる。
