2026年7月1日の米国株式市場は、第2四半期に主要指数がそろって2020年以来最高の四半期騰落率を記録した直後の取引となったが、第3四半期の初日は主要3指数がそろって下落して終えた。S&P500種指数は前日比0.22%安の7483.23、ダウ工業株30種平均は同0.03%安の52305.24、ナスダック総合指数は同0.66%安の26040.03で取引を終了した。VIX指数(恐怖指数)は前日比0.85%高い16.59となり、投資家の警戒感がやや強まった。この日はADP全国雇用者数リポートが市場予想を下回り、民間部門の雇用の勢いが鈍化していることを示したほか、翌日に発表が控える米6月雇用統計への警戒、および新FRB議長ケビン・ウォーシュ氏の発言への関心から様子見ムードが広がった。米国とイランを巡る地政学的な緊張報道も朝方の相場の重しとなった。序盤はコミュニケーション・サービスや金融セクターが相場を支えたが、半導体・AIインフラ関連の急落を受けて終値にかけて下げ幅を広げた。
米国株3指数そろって下落、メタ急伸もAI勢に警戒
S&P500など主要3指数は第3四半期初日にそろって下落。ADP雇用統計の軟化とFRBウォーシュ議長発言待ちで様子見ムード。メタはクラウド事業参入報道で急伸した一方、コアウィーブやネビウスなど「ネオクラウド」勢は競合懸念で急落し、明暗が分かれた。
市場概況
セクター動向
コミュニケーション・サービスは、メタ・プラットフォームズが自社の余剰AI計算能力を外部に販売する新クラウド事業「Meta Compute」の展開を検討していると報じられ8%超上昇した影響で相対的に堅調だった。金融セクターも、コインベースが「スーパーアプリ」化に向けた新商品投入を材料に大幅高となったことで下支えされた。一方、半導体セクターは軟調で、上半期にVanEck半導体ETFが82%上昇するなど記録的な相場が続いていたことへの利益確定売りが強まり、KLAコーポレーションが12%超下落するなど売られた。AIインフラ関連の「ネオクラウド」銘柄(コアウィーブ、ネビウス、IREN等)は、メタの新クラウド事業参入報道が自社の顧客・競合関係を直撃するとの懸念に加え、ベアーンスタインが業界見通しをやや弱気に転じたことも重なり、軒並み二桁パーセントの急落となった。
注目銘柄
- Reddit, Inc. (RDDT): +13.93% — グーグルやオープンAIとのデータライセンス契約について、2027年の更新時により高い「ダイナミックプライシング」を求めているとの報道を材料に、AI企業へのデータ提供ビジネスへの期待が再燃。加えてWallStreetBetsを中心とした個人投資家の物色も重なり急伸した。
- Guardant Health, Inc. (GH): +13.82% — FDAが同社の血液検査「Guardant360 CDx」をベーリンガーインゲルハイムの肺がん治療薬の コンパニオン診断として新たに承認したほか、ユナイテッドヘルスが大腸がんスクリーニング検査「Guardant Shield」の保険適用を発表。RBCキャピタルなど複数の証券会社が強気の目標株価を相次いで提示したことも追い風となった。
- Meta Platforms, Inc. (META): +8.81% — 自社の余剰AI計算能力やモデルへのアクセスを外部に販売し、AWSやマイクロソフト・アズールに対抗する新クラウド事業「Meta Compute」を計画していると報じられ、広告事業に次ぐ高収益の新たな収益源への期待から買いが集まった。
- Nebius Group N.V. (NBIS): -17.02% — 大口顧客であるメタが自前のクラウド事業を展開しGPU計算力の外部提供市場に参入するとの報道を受け、同社との最大270億ドル規模のインフラ契約の先行きに不透明感が強まった。ベアーンスタインの業界見通し下方修正や、インサイダーによる継続的な売却も株価の重しとなった。
- CoreWeave, Inc. (CRWV): -13.91% — メタの新クラウド事業参入報道により、メタとの210億ドル規模の契約を含む長期需要への懸念が浮上。マイケル・イントレーターCEOによる自社株売却や証券訴訟、5兆円規模とされる負債の重さも投資家心理を悪化させた。
為替・金利動向
ドル円相場は前日に約0.4%上昇し1986年12月以来となる1ドル=162円台に乗せたあと、7月1日のアジア時間も底堅く推移し162.6円台後半で取引された。月末・四半期末に伴う実需のドル買いに加え、翌日に控える米6月雇用統計を控えた警戒感、および6月のFOMCで新議長ケビン・ウォーシュ氏が利下げではなく利上げの可能性も排除しない方針を示したことを背景にした金利先高観がドルを支えている。米10年国債利回りは4.44%前後で推移し、ドルインデックスは101.32と前日比0.14%高で推移した。
今後の注目点
翌7月2日には米6月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)の発表が予定されており、前日発表されたADP雇用統計の軟化を受けて市場の関心が集まっている。予想を上回る強い結果となればウォーシュFRB議長のもとでの早期利下げ観測が一段と後退し、ドル高・株安要因となる可能性がある。また、メタの新クラウド事業参入報道を受けたコアウィーブやネビウスなど「ネオクラウド」勢の対応や、半導体セクターの上半期の急騰後の調整が続くかも焦点となる。米国とイランを巡る地政学リスクの展開や、7月中旬から本格化する主要企業の第2四半期決算発表シーズンも引き続き注目される。
