2026年7月20日の米国株式市場はまちまちの展開となった。S&P500は7443.28(前日比-0.19%)、ダウ工業株30種平均は51839.26(同-0.59%)、ナスダック総合指数は25508.07(同-0.05%)とそれぞれ小幅に下落して取引を終えた。米中央軍が同日未明にイラン関連目標への新たな空爆を実施したと発表し、米・イラン間の軍事的緊張が9夜連続で続いていることが投資家心理の重しとなった。一方でイラン外務省が仲介国からの「提案」を受け取ったと表明するなど外交的な接触が続いているとの報道もあり、リスク回避は限定的だった。恐怖指数(VIX)は18.65(前日比-0.64%)と低下し、直近続いていた半導体株中心の急落局面からは落ち着きを取り戻す動きも見られた。市場では22日に予定されるアルファベットとテスラの決算発表を控え、AI関連の大型テック株の動向を見極めたいとの警戒感も広がった。
米国株小幅安、イラン情勢と決算警戒で上値重く
20日の米国株式市場は主要3指数がそろって下落。米・イラン間の軍事的緊張の高まりと今週本格化するハイテク決算への警戒感が重しとなった一方、VIXは低下し過度なパニックは回避された。AI関連銘柄では明暗が分かれた。
市場概況
セクター動向
半導体株は前週末までの急落から一部持ち直しの動きが見られたが、方向感に乏しい展開となった。一方、AI向けデータセンターやビットコインマイニング関連銘柄は個別材料を手掛かりに大幅高となる銘柄が相次いだ。IREN(旧Iris Energy)やHut 8など、AI・HPC向けのGPUクラスターや大型データセンター賃貸契約を相次いで発表した銘柄に資金が集中した。ステーブルコイン関連ではCircle Internet Groupが上昇し、暗号資産・デジタル決済関連のセンチメント改善がうかがえた。対照的に、インドの大手銀行株は2026年度第1四半期(4-6月期)決算が市場予想を下回ったことを受けて軒並み急落し、米国上場のHDFC Bank(HDB)のADRも大幅安となった。エネルギー関連ではBloom Energyが大型プロジェクトの遅延懸念や部材調達リスクを背景に下落し、住宅建材関連のQXOも弱い住宅指標や増資による希薄化懸念から52週安値を更新するなど、セクター間でまだら模様の展開となった。
注目銘柄
- IREN Limited (IREN): +19.57% — AIクラウド・データセンター事業を手掛ける同社が総額28億ドル規模の新規契約締結を発表し、2026年の年間経常収益(ARR)目標を従来の37億ドルから40億ドル超に上方修正したことが好感された。最新世代の液冷GPUクラスター展開の加速も評価され、直近1カ月で4割超下落していた反動もあり急伸した。
- Hut 8 Corp. (HUT): +10.37% — テキサス州のデータセンターキャンパス「Vega Point」フェーズ2について、既存テナントとの間で15年契約・総額98億ドル規模のリース契約を締結したと発表。Nvidia製アーキテクチャを採用した352メガワットのAI向け計算能力を追加し、同キャンパスの契約容量が計704メガワットに達することが評価され、AIデータセンター関連の資金流入を集めた。
- Circle Internet Group (CRCL): +8.25% — ドル建てステーブルコイン「USDC」の発行体である同社の株価が上昇。市場全体でステーブルコイン・デジタル決済インフラ関連への関心が高まる中で買いが入り、直近安値圏からの反発の動きとなった。
- HDFC Bank Limited (HDB): -10.54% — インド最大手の民間銀行である同行が発表した2026年度第1四半期決算で、税引き後利益が前四半期比で減少し市場予想を下回った。純利ざや(NIM)は3.26%と過去最低水準に低下し、業績への懸念からADRが急落。同日はインドの大手銀行株が軒並み5%超下落する中での急落となった。
- Bloom Energy Corporation (BE): -8.20% — 燃料電池を手掛ける同社株が下落。アナリストからOracle向け2.45ギガワット規模の大型プロジェクトが大気汚染許可未取得や天然ガスパイプラインを巡る規制上の係争で遅延しているとの指摘や、AEP向け案件のスケジュールも後ろ倒しになっていることが嫌気された。燃料電池の電解質安定剤に使うスカンジウムを巡る中国の輸出規制リスクも重しとなり、直近高値から4割近い下落となった。
為替・金利動向
米・イラン情勢の緊迫化を背景に、外国為替市場では円が対ドルで軟調に推移し、100円あたり0.62ドル前後(1ドル=161円台前後に相当)と、昨年同時期の水準(0.68ドル程度)を下回る円安ドル高圏で推移した。米10年国債利回りは4.5%台後半で概ね横ばい圏の推移が続いており、労働市場の減速シグナルなどを背景に上昇一服の状態にある。ドル指数(DXY)も7月上旬につけた101台からは上げ渋り、100台での推移となっており、地政学リスクの高まりにもかかわらずドルへの逃避的な買いは限定的だった。
今後の注目点
今週は米主要ハイテク企業の決算発表が本格化する。7月21日にゼネラル・モーターズが決算を発表するほか、22日にはアルファベットとテスラが揃って引け後に決算を発表する予定で、AI関連投資の持続性を占う試金石として市場の注目度が高い。週後半にかけてはテキサス・インスツルメンツ、IBM、AT&Tのほか、インテル、T-モバイルUS、ロッキード・マーティン、コムキャスト、アメリカン・エキスプレス、ベライゾンなどS&P500構成企業70社超が決算発表を予定しており、幅広いセクターの業績動向が焦点となる。あわせて、米・イラン間の軍事的緊張の推移や仲介国を通じた外交協議の行方も、原油価格やリスク資産全般のセンチメントを左右する材料として引き続き警戒される。
