8月3日の米国株式市場は主要3指数がそろって大幅高となった。S&P500種指数は前日比1.48%高の7600.5、ダウ工業株30種平均は同1.32%高の53178.41で終値ベースの過去最高値を更新、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は同2.13%高の25913.9で引けた。トランプ大統領が「イランへの攻撃を見送り、ホルムズ海峡を巡る合意に向けて交渉する」と表明したと伝わったことを受け原油価格が下落し、地政学リスク後退への安心感からリスク選好の買いが優勢となった。またAmazonが史上最高値を更新したほか、Meta、Microsoft、Google、Oracleなど大型ハイテク・クラウド株が軒並み切り返し、指数上昇を主導した。恐怖指数VIXは前日比0.81%低下の15.86と落ち着いた水準で推移し、投資家心理の改善を映した。
NYダウ最高値、ハイテク株主導で米株急伸
8/3の米国株式市場は米・イラン間の緊張緩和を受けた原油安が追い風となり、ダウ平均が終値で最高値を更新、S&P500・ナスダックも大幅高となった。AI関連のネオクラウド株や太陽光関連株が急騰した一方、AstraZenecaやMarriottなどは個別材料で急落し、銘柄間で明暗が分かれた。
市場概況
セクター動向
AI関連のインフラ投資テーマが引き続き市場の中心となり、CoreWeave、Nebius、IRENなどのネオクラウド(AIデータセンター)関連株が軒並み急騰した。AmazonのAWS部門が前年比37%増収と好調だったことが業界全体への追い風となり、アナリストによる目標株価引き上げや大型AI計算資源契約の発表が個別株の急伸につながった。太陽光発電セクターも、First Solarの好決算とSection232関税を巡る国内製造優遇観測を背景に、SolarEdgeやEnphase、Canadian Solarなど関連銘柄が軒並み上昇した。一方で半導体セクターの一角では、Monolithic Power SystemsがNvidiaのBlackwell向け電源管理ICのサプライヤー地位を巡る懸念から下落し、まちまちな展開となった。医薬品セクターはAstraZenecaが大型M&A報道と臨床試験の失敗が重なり急落、ヘルスケア・金融データ企業のFair Isaacもアナリスト格下げで大きく売られるなど、個別材料主導で下落した銘柄が目立った。旅行・宿泊セクターはMarriottが中東地域の需要低迷を背景とした弱い第3四半期ガイダンスを嫌気し急落した。
注目銘柄
- CoreWeave, Inc. (CRWV): +19.49% — Truistが42%の株価調整後を評価してBuyに格上げし、AI向け計算需要の強さとネオクラウド同業対比での割安感を指摘。AmazonのAWS部門が前年比37%増収だったことが業界全体のセンチメント改善につながったほか、8月11日に控えるQ2決算への期待も買いを後押しした。
- Nebius Group N.V. (NBIS): +11.64% — Reflection AIとの間で2029年まで総額10億ドル超のコンピューティング供給契約を締結したと発表し、AIインフラ需要の底堅さを示す材料となった。CoreWeaveやIRENなど同業のネオクラウド株の急伸と連動した業界全体の買いも支援材料となり、8月12日予定の決算発表への期待も高まった。
- First Solar, Inc. (FSLR): +10.28% — 7月30日発表のQ2決算でEPSが3.92ドルとコンセンサス(約2.90ドル)を大幅に上回り、純利益は前年比24%増となったことが評価された。Guggenheim、Citiなど複数のアナリストが目標株価を引き上げ、Section232関税を巡る決定が国内生産中心の同社に追い風になるとの見方も株価を支えた。
- Marriott International, Inc. (MAR): -6.97% — Q2決算はEPS3.19ドルとコンセンサス超えだったが、売上高は70.7億ドルと市場予想(72.0億ドル)に届かず。中東地域での宿泊需要低迷を背景に、第3四半期の調整後EPS見通し(2.74~2.82ドル)が市場予想(2.87ドル)を下回ったことが嫌気され、通期見通しの上方修正も相殺できなかった。
- AstraZeneca PLC (AZN): -6.88% — Bristol Myers Squibbとの総額約4000億ドル規模の統合交渉が報じられ、独占禁止法審査への懸念や成長戦略への影響を警戒した売りが優勢となった。加えてがん領域のフェーズ3臨床試験が主要評価項目(全生存期間)を達成できなかったことや、米国での薬価交渉強化への警戒も株価の重しとなった。
為替・金利動向
米10年国債利回りは前日比0.05ポイント低下の4.70%と落ち着いた動き。中東情勢の緊張緩和で株式へのリスク選好が強まる一方、FRBの利下げ観測が根強く長期金利は上値の重い展開となった。ドル円は156.51円前後と前日比0.59%程度の円高・ドル安で推移し、円は対ドルでこの1カ月では上昇基調にある一方、年初来では依然として円安水準にある。ドルは対主要通貨でも上値の重い動きとなり、FRBの慎重な金融政策スタンスがドル売り圧力として意識された。
今後の注目点
週内は8月7日(金)発表の7月雇用統計(非農業部門雇用者数)が最大の注目材料となる。市場予想は10万〜13万人増、失業率4.2〜4.3%程度とされる一方、6月分は+5.7万人にとどまり過去2カ月分が7.4万人下方修正されていたため、再び弱い結果となればFRBの利下げ観測が一段と強まる可能性がある。このほか8月5日(水)のJOLTS求人件数、8月6日(木)のADP民間雇用者数、ISM/PMIなど景況感指標の発表も相次ぐ。決算面ではCoreWeave(8月11日)、Nebius(8月12日)のネオクラウド勢に加え、Salesforce、Broadcom、Lululemon、DocuSign、Macy'sなど主要企業の発表が予定されている。次回FOMCは9月16日で、今週の雇用・物価関連指標が利下げ時期を占う材料として注視される。
