2026年8月26日の米国株式市場は方向感に乏しい商状となった。S&P500種株価指数は前日比0.02%安の7675.70、ダウ工業株30種平均は0.21%安の53463.88、ナスダック総合指数は0.08%安の26130.20とそろって小幅に続落した。この日の取引終了後にNVIDIAの四半期決算発表を控えていたことに加え、週内に発表が予定されるインフレ関連指標を見極めたいとの思惑から、投資家の間で様子見姿勢が強まった。一方、恐怖指数とされるVIX指数は1.55%低下し15.21となり、指数の下落幅が小幅にとどまる中で市場のボラティリティ懸念はやや後退した。指数全体としては小動きに終始したものの、個別材料を手掛かりにした値動きが目立つ一日となった。
NVIDIA決算控え様子見、SMTCなど個別株が急伸
2026年8月26日の米国株式市場は主要3指数がそろって小幅安。NVIDIA決算発表とインフレ指標公表を控え様子見商状となる一方、Semtechなど好決算銘柄が急伸、Zoomは弱い業績見通しで急落するなど個別材料株の値動きが際立った。米長期金利は高値から低下し、VIXも低下した。
市場概況
セクター動向
個別セクターでは決算材料を手掛かりにした物色が中心となった。半導体・エレクトロニクス関連ではSemtechやTTM Technologiesが好決算とAI・データセンター需要拡大への期待から大幅高となり、関連する電子部品セクターを下支えした。バイオ・ヘルスケアセクターでは、Summit Therapeuticsが臨床試験の良好なデータを材料に買われた一方、Modernaは今月20日に記録した急騰の反動で利益確定売りに押され、セクター内でも銘柄ごとに明暗が分かれた。ソフトウエア・通信サービスセクターはZoom Communicationsの弱い業績見通しが重荷となり軟調に推移した。AIデータセンター関連銘柄では、NVIDIA決算発表と自社の決算発表(27日予定)を控えたIRENに持ち高調整の売りが優勢となり、同業他社にも売りが波及した。
注目銘柄
- Semtech Corporation (SMTC): +10.41% — 第2四半期決算で売上高が前年比32.7%増の3億4190万ドルとなり市場予想を上回ったほか、データセンター向け事業が91%増と急拡大。第3四半期の売上高ガイダンス(4億1000万ドル)も市場予想を14%上回る強気水準を示したことが好感された。
- TTM Technologies, Inc. (TTMI): +8.37% — エドウィン・ロックスCEOが前日に自社株1万株(約110万ドル相当)を市場で購入したことが経営陣の自信の表れと受け止められたほか、AI需要を背景に第2四半期売上高が過去最高の10億ドルに到達したこと、Epiqの11億ドルでの買収によるRF・DSP技術拡充への期待も買い材料となった。
- Summit Therapeutics Inc. (SMMT): +6.51% — 主力候補薬ivonescimabの第3相HARMONi試験で、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん患者において化学療法併用群が統計的に有意かつ臨床的に意味のある無増悪生存期間の改善を示したと発表され、11月半ばに控えるFDA審査への期待が再燃した。
- Zoom Communications, Inc. (ZM): -7.03% — 第2四半期は増収増益で市場予想を上回ったが、第3四半期のEPSガイダンス(1.46~1.48ドル)が市場予想の1.50ドルを下回ったため、決算の好内容よりも先行き懸念が優先され売られた。
- Moderna, Inc. (MRNA): -5.77% — 8月20日にMerckとの共同開発によるmRNAがんワクチンの第3相メラノーマ試験で良好な結果が伝わり株価が急騰した反動から機関投資家による利益確定売りが継続し、値動きの荒い展開が続いた。
為替・金利動向
米10年国債利回りは、直近のエネルギー価格下落を背景にインフレ懸念がやや後退したことを受け、8月21日につけた20カ月ぶり高水準の4.75%から低下し4.65%前後で推移した。長期金利の低下は株式市場にとって相対的な支援材料となったものの、この日の株価指数はNVIDIA決算やインフレ指標の発表を控えた様子見姿勢が優勢となった。日本の10年物国債利回りは2.89%で高止まりしており、日銀の金融政策動向を巡る思惑も引き続き為替市場の変動要因として意識されている。
今後の注目点
この日の取引終了後にはNVIDIAの四半期決算(市場予想は売上高約910億ドル、EPS2.09ドル)が発表される予定で、AI関連銘柄の先行きを占う最大の材料として市場の関心が集中している。週内には個人消費支出(PCE)物価指数など、FRBが重視するインフレ関連データの発表も控えており、金融政策の先行き観測を左右する可能性がある。個別企業では、IREN Limitedが8月27日に2026年度(FY26)本決算を発表する予定であるほか、FRBのケビン・ウォーシュ議長の講演も予定されており、金利・インフレ動向とあわせて市場のボラティリティ要因として注視される。
