9月10日の東京株式市場は、前日の米国株安の流れを受けて売りが先行し、日経平均は午前中に一時前日比956.10円安の64,186.68円まで下げ幅を拡大した。しかし午後に入るとTSMC(台湾積体電路製造)が発表した8月の月次売上高が前年同月比53.3%増と好調だったことを受けて半導体関連を中心に買いが加速し、大引けにかけてプラス圏まで切り返した。日経平均株価は前日比128.17円高(+0.2%)の65,270.95円で取引を終え、3営業日ぶりに反発した。TOPIXも前日比0.2%高の4,054.58で終了。一方、グロース250指数は-0.19%の782.24と続落し、大型株優位の一日となった。中東情勢の緊迫化や米長期金利の上昇に対する警戒感がくすぶる中、押し目買いが下値を支えた格好となった。
日経平均反発、TSMC好決算で下げ渋る
日経平均は前日の米国株安を受けて一時956円安まで下落したが、TSMCの8月月次売上高が前年比53.3%増と好調だったことで買いが優勢となり、128.17円高の65270.95円で反発した。非鉄金属・建設・機械が下落する一方、証券・銀行・保険が上昇した。
市場概況
セクター動向
東証プライムの業種別騰落では、非鉄金属が-3.63%と下落率トップとなり、その他製品(-2.81%)、建設業(-2.33%)、機械、ガラス・土石製品なども軟調だった。非鉄金属の下落は三井金属など主力銘柄が前日までの急伸から利益確定売りに押されたことが影響した。建設業は世界的な金利上昇や中東情勢の混迷を背景とした資材価格高騰への警戒感が重荷となり、清水建設・大成建設などスーパーゼネコンが軒並み安となった。一方、証券業、サービス業、銀行業、保険業、鉄鋼などは上昇し、金利上昇を追い風とする金融セクターへの資金流入が目立った。全体としては値上がり・値下がりが交錯するまだら模様の相場展開だった。
注目銘柄
- アルビス (7475): +23.33% — 東証プライム値上がり率1位。直近の四半期決算(2026年7月31日発表、2027年3月期第1四半期)で店舗数減少により営業収益は微減となったものの、コスト管理改善により営業利益が前年同期比16.0%増と大幅増益を確保しており、これを見直す形での資金流入とみられる。
- エアトリ (6191): +19.40% — ストップ高。26年9月期〜28年9月期を株主還元期間と位置付け、総額100億円超の配当還元を実施すると発表。26年9月期の年間配当を1株160円(従来10円)に大幅増配し、あわせて業績予想も上方修正(営業利益を従来予想15億円から30億円に倍増)したことが好感された。
- ANYCOLOR/エニーカラー (5032): +13.49% — 前日9月9日に発表した2026年4月期通期決算で、売上・営業利益とも会社計画の上限近辺で着地したほか、初配当となる年間75円の配当(第2四半期末35円、期末40円)を実施したことが好感され、決算発表翌日の9月10日に買いが継続した。
- 大真空 (6962): +8.94% — 水晶デバイス(KDSブランド)大手。2027年3月期は売上高3.7%増、営業利益23.5%増を見込む増収増益計画を示しており、半導体・電子部品市況の持ち直し期待を背景に直近の下落分を取り戻す形で反発した。
- 日本化学工業 (4092): +8.32% — 無機化学品(リン・クロム・シリカ・バリウム製品)大手。直近発表の2027年3月期第1四半期はAIサーバー関連製品や海外向け触媒が好調で増収増益となっており、9月1日から9月8日にかけて調整していた反動もあって、AI関連材料への物色機運から買いが入った。
- 日本製鋼所 (5631): -6.51% — 直近5営業日は出来高を伴いながら方向感の定まらない値幅の大きい展開が続いており、9月10日はこの間の上昇分を吐き出す形での売りに押された。
- 東京計器 (7721): -5.86% — 直近発表の2027年3月期第1四半期は増収に加え営業損失が縮小し最終黒字転換するなど業績は改善傾向にあり、個別の悪材料は確認できず、機械セクター全体の軟調地合いに連れた売りとみられる。
- 三井金属 (5706): -5.71% — 前日9月9日はアナリストによる目標株価引き上げや投資判断の格上げを材料に+5.20%高となっており、9月10日はその反動による利益確定売りに加え、非鉄金属セクターがこの日の値下がり率トップとなったことも重荷となった。
- 清水建設 (1803): -5.60% — 建設業セクター全体が金利上昇・資材価格高騰への警戒感から売られる中、値がさのスーパーゼネコン株として下落。直近発表の2027年3月期第1四半期は大型工事の進捗により増収増益と業績自体は堅調。
- 大成建設 (1801): -5.58% — 清水建設と同様、建設業セクターの軟調地合いに連れた下落。世界的な金利上昇と中東情勢混迷に伴う資材価格高騰が建設株全般の重荷となっている。
為替・金利動向
ドル円はアジア時間に一時152円台後半までドル売り・円買いが進行したが、NY市場で米10年債利回りが約2023年11月以来の高水準となる4.85%台まで上昇したことを受けてドル買いが強まり、153円台半ばまで切り返す展開となった。日銀の早期追加利上げ観測やレパトリ(本国送金)思惑も引き続き相場を意識させている。日本の新発10年国債利回りは前日比+0.050%の2.930%まで上昇し、世界的な金利上昇局面が続いている。金利上昇は建設・不動産セクターの重荷となる一方、銀行・保険株には追い風として意識された。
今晩の米国市場の注目点
米国では日本時間9月10日夜(現地時間9日)に8月の生産者物価指数(PPI)が発表される。市場予想はヘッドライン前月比+0.4%(前回0.0%)、前年比+5.3%(前回+4.7%)、コア指数も前月比+0.3%・前年比+4.6%への加速が見込まれており、翌日9月11日発表の消費者物価指数(CPI)とあわせて連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しを左右する重要指標として注目される。インフレ加速が確認されれば長期金利上昇を通じてハイテク株中心に売りが広がりやすい地合いとなる。また企業決算では、クラウド大手オラクル(ORCL)が2027年度第1四半期決算を、アドビ(ADBE)が2026年度第3四半期決算をそれぞれ取引終了後に発表する予定で、AI関連の設備投資動向や大型契約の進捗が注目材料となる。
