Market Pulse
note

個別銘柄の決算分析はnoteで公開中

米国市場5/14 07:04 JST 時点のデータ

NASDAQとS&P500が最高値更新、半導体・AI株が牽引

5月13日の米国株式市場はNASDAQが+1.2%、S&P500が+0.58%で過去最高値を更新。4月PPIが前月比+1.4%と市場予想を大幅に上回る中、テクノロジー・AI・半導体セクターが相場を牽引。ダウは-0.14%と小幅安。VIXは17.87に低下し投資家心理は落ち着いた状態を維持した。

S&P 500
7,444.25
+0.58%
NYダウ
49,693.20
-0.14%
NASDAQ
26,402.34
+1.20%
VIX
17.87
-0.67%

市場概況

5月13日の米国株式市場は、NASDAQが26,402.34(+1.2%)、S&P500が7,444.25(+0.58%)とそれぞれ過去最高値を更新して引けた。ダウ平均は49,693.20(-0.14%)と小幅な下落にとどまり、主要3指数の騰落はまちまちとなった。

最大の注目材料は4月の生産者物価指数(PPI)。前月比+1.4%と2022年3月以来最大の月間上昇を記録し、市場予想(+0.5%)を大幅に上回った。前年比では+6.0%と、3月のCPI(+3.8%)から大きく加速。コアインフレの根強さが改めて確認されたが、AI・半導体への構造的需要が投資家心理を下支えし、テクノロジー主導の上昇が続いた。NVIDIAが+2%超、マイクロン・テクノロジーが+4%超上昇するなど半導体大型株も堅調に推移。VIXは17.87(-0.67%)と低下し、相場の恐怖感は限定的だった。また、トランプ大統領の訪中を前にした米中関係改善期待も下支え材料となった。

セクター動向

【テクノロジー・半導体】全体を牽引した最強セクター。NVIDIAやマイクロン・テクノロジーなど大型株が揃って大幅高。Tower Semiconductor(TSEM)の好決算・大型AI向け契約やApplied Optoelectronics(AAOI)のアナリスト目標株価引き上げも業界センチメントを押し上げた。800G・AI向けデータセンター需要の力強さが改めて確認された形。

【AI・クラウドインフラ】Nebius Group(NBIS)がQ1売上高前年比+684%という驚異的な成長と初の黒字転換で急騰。Aurora Innovation(AUR)も商業自動運転トラッキング事業の本格化とモルガン・スタンレーによる目標株価引き上げを受けて+16.74%の大幅高。AIインフラへの需要拡大テーマが継続中。

【自動車】フォード(F)が新設バッテリー貯蔵子会社「Ford Energy」の設立発表とQ1決算の好内容を背景に急騰。モルガン・スタンレーによるエネルギー事業への強気レポートも加速の一因となった。

【エネルギー】Coterra Energy(CTRA)など天然ガス中心のE&P企業が軟調。投資家の資金がテクノロジー・AI関連に集中し、エネルギーセクターからの相対的な資金流出が見られた。

【IT・SaaS】Dynatrace(DT)が決算発表後に急落。決算自体は予想超過だったが来四半期の成長鈍化見通しが嫌気され、同セクター全体のセンチメントへもやや悪影響を及ぼした。AppLovin(APP)も個別要因で売りが続き、高バリュエーションのアドテク株への慎重姿勢が示された。

注目銘柄

  • Tower Semiconductor (TSEM): +22.61% — Q1 2026売上高が前年比+15%の4億1,400万ドル、粗利益は同+52%、営業利益はほぼ倍増。Q2ガイダンスは過去最高となる4億5,500万ドル(前年比+22%)を提示。さらにAIデータセンター向けシリコンフォトニクスチップの長期供給契約(総額13億ドル)を受注し、米国防システム向けレーダーチップの採用も確認された。顧客からの前払い金2億9,000万ドルが生産能力への強い需要を裏付けた。
  • Nebius Group (NBIS): +15.72% — Q1 2026売上高が前年比+684%の3億9,900万ドルと市場予想を上回り、調整後EBITDAが前年の-5,370万ドルから+1億2,950万ドルへ黒字転換。売上原価率が49セントから26セントに改善。MetaとのAIクラウド契約(最大270億ドル)、Microsoftとの5年契約(最大194億ドル)、NVIDIAからの20億ドル戦略投資といった巨大なバックログも評価された。
  • Ford Motor (F): +13.18% — Q1 2026はEPS 0.66ドル・売上高433億ドルと市場予想を上回る好決算。通期調整後EBIT見通しを85〜105億ドルに引き上げ、フリーキャッシュフロー予想も50〜60億ドルに拡大。同日にバッテリー貯蔵子会社「Ford Energy」の設立を発表し、CATLからライセンスを受けたバッテリー技術を米国内で生産する計画を公表。モルガン・スタンレーがエネルギー貯蔵事業のハイパースケーラーとの提携可能性に強気レポートを発行したことも株価上昇を後押しした。
  • Dynatrace (DT): -11.43% — Q1 2026はEPS 0.41ドル・売上高5億3,170万ドルとともに予想を超えた。しかし翌四半期の売上高成長率ガイダンスが前年比+15%と今四半期の+19.4%から大幅に減速する見通しを提示し、翌四半期EPSガイダンスも市場予想を下回った。成長加速を期待していた投資家の失望売りが売上高成長鈍化への懸念として噴出し、決算ミスなき株価急落となった。
  • AppLovin (APP): -7.57% — 5月6日の好決算(EPS・売上高ともに予想超過、Q2ガイダンスも堅調)に対する初期の上昇反応が剥落し、その後下落基調が継続。SECによるデータ収集慣行に関する調査が継続的な懸念材料として重くのしかかった。また、6月のAxonセルフサービスプラットフォーム立ち上げや消費者・EC広告事業の加速に向けた具体的証拠を市場が要求しており、投資家の「成長加速待ち」による売りも圧迫要因となった。

為替・金利動向

【ドル円】ドル円は157円台後半で推移し、円安傾向が継続。4月PPIが市場予想を大幅に上回ったことでFRBの利下げ期待がさらに後退し、ドル高・円安圧力が強まった。日本円は対ドルで3日連続の下落。米財務長官ベッセント氏が「日米両国は過度な為替変動を望まない」と発言したことで日本当局の介入警戒感は維持されているが、日米金利差の高止まりが円安の構造的な背景となっている。2026年の平均レートは約157.47円で推移。

【米10年国債利回り】4月PPI(前月比+1.4%)の大幅上振れを受け、インフレの長期化観測から米10年国債利回りは上昇圧力に晒された。FRBの政策転換時期がさらに遠のくとの見方が債券市場に再び広がり、利回りを押し上げた。

【日本10年国債利回り】日本の10年国債利回りは約2.55%と1997年以来の高水準に上昇。日銀の4月会合の議事要旨で追加利上げの議論が行われていたことが明らかとなり、日本の長期金利も世界的なインフレ環境の影響を受けた形となった。

【ドル指数(DXY)】PPIサプライズを受けたドル高基調が継続し、ドルインデックスは堅調に推移。米中貿易交渉への期待感も加わり、全体としてドル強含みの地合いだった。

今後の注目点

【トランプ大統領訪中】米中首脳会談および貿易・関税交渉の結果が最大の地政学的注目点。具体的な合意内容によっては、テクノロジー・素材・農業セクターへの波及が見込まれ、市場のボラティリティが高まる可能性がある。

【インフレ・FRB政策】4月PPIの大幅上振れにより追加利上げ・利下げ先送り観測が再燃。次の焦点は5月下旬公表のPCEデフレーター、および6月のCPI。市場の利下げ期待の修正度合いがリスク資産のパフォーマンスを左右する。

【決算シーズン継続】AI・クラウドインフラ企業の決算発表が続く。ハイパースケーラーの設備投資計画、AI関連の受注動向が引き続き半導体・データセンター株の短期的カタリストとなる。

【エネルギー・地政学】イラン情勢を背景とした原油価格動向がインフレ見通しおよびエネルギーセクター株のパフォーマンスに影響。エネルギー価格の高止まりが続けば消費関連・輸送セクターへの下押し圧力となる。

【自律走行・AI商業化】Aurora Innovation(AUR)が完全無人の商業運行を開始したように、AIと自律走行技術の実用化ペースが引き続き市場テーマとして台頭。各社の商業展開・提携ニュースが短期的な株価カタリストとなりうる。