Market Pulse
note

個別銘柄の決算分析はnoteで公開中

米国市場5/22 07:04 JST 時点のデータ

AIインフラ株急騰、IntuitとWalmartが逆風に

5月21日の米国株式市場は主要3指数が小幅高で終了。S&P500は0.17%高、ダウは0.55%高。前日引け後のNVIDIA決算を受けたAIインフラ関連への期待からARMやApplied Digitalが急騰。一方、Intuitが人員17%削減と収益ガイダンス下方修正で急落し、Walmartも先行き不透明な見通しを受けて売られた。VIXは16.76まで低下し市場の警戒感は和らいだ。

S&P 500
7,445.72
+0.17%
NYダウ
50,285.66
+0.55%
NASDAQ
26,293.10
+0.09%
VIX
16.76
-3.90%

市場概況

5月21日の米国株式市場は、S&P500が0.17%高の7445.72、ダウ平均が0.55%高の50285.66、NASDAQ総合が0.09%高の26293.10でいずれも小幅高で終了した。恐怖指数(VIX)は3.9%低下の16.76と投資家心理の落ち着きを示した。前日引け後に発表されたNVIDIAの第1四半期決算は売上高・EPSともに市場予想を上回ったものの、次四半期ガイダンスが期待上限に届かなかったためエヌビディア株自体はほぼ横ばいで推移した。一方、AIインフラ需要拡大期待を背景に半導体・データセンター関連株が幅広く買われた。原油価格の上昇や国債利回りの高止まりが一部の重しとなり日中は上下に振れる場面もあったが、Intuitの大規模人員削減やWalmartの弱気見通しによる下落圧力をAI関連株の急騰が打ち消し、終値ではいずれの指数も小幅プラスで引けた。

セクター動向

半導体・AIインフラセクターが際立った強さを示した。ARMホールディングスがバーンスタインによる新規アウトパフォーム格付けと好決算を材料に16%超急騰。AIデータセンター事業のApplied Digitalも大型ハイパースケーラー契約締結で21%超上昇した。GlobalFoundriesは米政府の量子コンピューティング向け3億7500万ドル補助金獲得を受けて急騰。NebiusグループもQ1の大幅増収・黒字転換とBloom Energyとのエネルギー契約を材料に14%超上昇するなど、AI関連テーマへの資金流入が全体を下支えした。消費関連では明暗が分かれた。Ralph Laurenが第4四半期の大幅な業績超過と年間売上高80億ドル突破を受けて13%超急騰した一方、Walmartは第1四半期の既存店売上高が予想を上回ったにもかかわらずガソリン高騰を背景とした消費者購買力への懸念から約7%下落した。ソフトウェアセクターではIntuitが大規模リストラ発表で20%超の急落を記録し、同セクターのセンチメントを悪化させた。宇宙・衛星関連ではRocket Labが30億ドル規模の株式発行枠設定に伴う希薄化懸念で売られた。

注目銘柄

  • Applied Digital Corporation (APLD): +21.51% — 米国内の投資適格ハイパースケーラーとAIファクトリーキャンパス「Polaris Forge 3」に関する15年間のテイクオアペイ型リース契約(基本期間で約75億ドル、更新オプション行使で最大182億ドル)を締結。同一ハイパースケーラーとの2件目の大型契約となり、APLD全体の契約済みリース収益は基本条件で230億ドルを超えた。Roth CapitalとNeedhamがそれぞれ目標株価を引き上げ(RothはBuy・目標65ドル)、複合的な材料が株価を押し上げた。
  • Arm Holdings plc (ARM): +16.16% — バーンスタインが「アウトパフォーム」格付けで新規カバレッジを開始し、目標株価300ドルを設定(エージェンティックAI時代のCPU市場の構造的受益者と評価)。前日公表の2026年度第4四半期決算でも純利益49%増・売上高20%増の14億9000万ドルと好結果を確認。AIの普及でGPU対CPU比率が8対1から2対1に変化し、CPU向けアドレス可能市場が2030年までに1370億ドル規模に拡大するとの見方が買いを加速させた。
  • Ralph Lauren Corporation (RL): +13.87% — 2026年度第4四半期決算で売上高が前年同期比16.6%増の19億8000万ドルと市場予想を大幅に上回り、年間売上高が初めて80億ドルを突破した。調整後EPSも予想比約10%超過。営業利益率は140ベーシスポイント改善して15.4%となり、四半期配当を9.6%増配し1株1.00ドルとする方針も発表。全地域・全チャネルでの成長と強固な需要が確認され、S&P500全銘柄中トップの上昇率を記録した。
  • Intuit Inc. (INTU): -20.02% — 第3四半期決算で売上高86億ドル(前年比+10%)、調整後EPS12.80ドルと予想を上振れたものの、全社員の17%にあたる約3,100人の人員削減を発表。TurboTax売上高予想を52億7700万〜52億8200万ドルへ引き下げ(従来53億500万〜53億3000万ドル)、売上高成長率も10%と2024年以降で最低水準に鈍化。AI普及により「ガイド付き申告支援」モデルへの構造的な脅威が高まるとの懸念も重なり、株価が急落した。
  • Walmart Inc. (WMT): -7.27% — 2027年度第1四半期の売上高は予想並み、米国既存店売上高は前年比4.1%増と予想(3.85%増)を上回り、電子商取引も26%増と好調だった。しかしガソリン価格の高騰が消費者の購買力を圧迫しているとして先行き見通しを慎重に示し、第2四半期ガイダンスが市場期待を下回ったことが嫌気され7%超下落した。

為替・金利動向

為替市場ではドル円が159.17円前後(前日比+0.16%)で推移し、日本当局が介入を示唆してきた1ドル160円水準に迫る動きが続いた。米10年国債利回りは直近の約4.70%(約16カ月ぶり高水準)から低下し4.60%前後で取引された。米国とイランの核合意交渉が進展しているとの報道がエネルギー価格上昇に伴うインフレリスクの後退を示し、利回りの押し下げにつながった。ドルインデックスはほぼ横ばいで方向感を欠く展開となった。国債利回りの安定化はバリュエーションの高いAI・グロース株にとって追い風となり、主要指数の小幅高を支える一因となった。

今後の注目点

経済指標面では週間新規失業保険申請件数や製造業・サービス業PMIの発表が続き、米景気の現状判断に影響を与える。FRBの動向に関しては公表済みのFOMC議事録の内容を市場が引き続き消化しており、利下げ時期の見極めが続く。地政学リスクでは米・イランの核交渉の進展が原油価格と国債利回りの方向性を左右するため、交渉の行方に引き続き注視が必要。企業決算では消費関連やテクノロジー各社の決算が佳境を迎えており、Intuitに続く大手ソフトウェア各社のAI対応戦略への市場評価が注目される。AIデータセンター関連ではApplied DigitalやARMが示した需要の強さの持続性と、今後発表されるハイパースケーラー各社の設備投資計画がAIインフラ株の方向感を左右する重要材料となろう。