6月4日の米国株式市場は、ダウ平均が874.86ドル高(+1.73%)の51,561.93ドルで引け史上最高値を更新した。S&P500も7,584.31ドル(+0.41%)と続伸した一方、ナスダック総合は26,830.96ドル(-0.09%)とわずかに下落した。最大の話題はBroadcomの急落で、前日引け後に発表したQ2決算でQ3のAIチップ売上高ガイダンスが160億ドルと市場予想の172億ドルを大幅に下回り、同社株が12%超急落。半導体・AI関連株全体に売りが波及してナスダックの重しとなった。これに対し、テック株から逃避した資金がヘルスケア・消費・金融株へ流入するローテーションが鮮明となり、UnitedHealthが5%超上昇してダウを牽引、JPMorgan ChaseやWalmart、Eli Lilly(+4%超)、Costcoなども上昇した。イスラエルとレバノンの停戦合意を受けて原油価格と長期金利が低下し、景気敏感株の支援材料となった。VIXは15.40(-4.11%)と低下し、市場の恐怖感は後退した。
ダウ最高値更新、Broadcom急落でNASDAQ上値重く
6月4日の米国株式市場はダウ平均が+1.73%と史上最高値を更新した一方、BroadcomのAI半導体ガイダンス失望でナスダックは小幅安。半導体セクターから医療・消費財へのローテーションが顕著。VIXは4%超低下し市場センチメントは改善。イスラエル・レバノン停戦が原油・金利の安定化に寄与した。
市場概況
セクター動向
【情報技術・半導体】BroadcomのAIガイダンス失望を受け、光ネットワーク関連のCiena(-13.66%)をはじめ、Lumentum・Coherent・Marvell・Corningなど光通信セクター全体が軒並み下落。CrowdStrikeも決算後に急落し、AI・半導体セクター全体に重くのしかかった。【ヘルスケア・生活必需品】UnitedHealthが5%超上昇。Eli Lillyも4%以上上昇し、ディフェンシブセクターがローテーション恩恵を享受した。WalmartやCostcoも堅調に推移した。【防衛】トランプ政権の1.5兆ドル規模の大型国防予算提案が引き続き追い風となり、Kratos Defenseをはじめ防衛銘柄が上昇。【小売・一般消費財】Five Belowが好決算にもかかわらず通期ガイダンスの引き上げ幅不足を嫌気されて急落(-13.78%)。【コミュニケーション】Redditがアナリスト強気評価を受けて+8.51%急騰。
注目銘柄
- Five Below (FIVE): -13.78% — Q1決算はEPS2.22ドル(予想比+0.43ドル超過)、売上高12.8億ドル(前年比+31.9%)、既存店売上高+22.7%と軒並み予想超過だったが、通期ガイダンスの引き上げ幅が市場の高い期待値に届かなかった。Mizuhoは後半(下半期)の見通し据え置きを問題視。「好決算売り」の典型となった。
- Ciena (CIEN): -13.66% — Q2売上高15.7億ドル・調整後EPS1.64ドルと予想超過で、通期売上高ガイダンスも約63億ドル(±1億ドル)へ引き上げたが、超大口顧客(ハイパースケーラー)の旺盛な需要に対する供給制約の継続を警告したことが嫌気された。ガイダンス上限がアナリスト予想コンセンサス63.18億ドルをわずかに超えるのみで、Broadcomショック後の高まる市場期待に応えられなかった。光ネットワーク関連セクター全体への波及的な売りも発生した。
- Broadcom (AVGO): -12.55% — Q2決算はEPS2.44ドル(予想2.40ドル)、売上高221.9億ドル(予想222.7億ドル)と概ね予想水準だったが、Q3のAIチップ売上高ガイダンスが160億ドルと市場予想172億ドルを大幅下回り急落。CEO Hock Tanが通年のAIチップ売上高目標1,000億ドルを据え置いたことも失望を招いた。時価総額約2,800億ドルが1営業日で消失し、米国上場メガキャップ史上最大級の単日損失のひとつとなった。
- Reddit (RDDT): +8.51% — Loop CapitalがBuyレーティングを維持し、目標株価260ドル(当時株価比50%以上の上昇余地)を設定したアナリストレポートが急騰の直接的契機。継続的な広告収益成長とGoogleやOpenAIとのAIデータライセンス契約拡大が評価材料として挙げられた。
- Kratos Defense (KTOS): +8.51% — トランプ政権提案の1.5兆ドル規模の国防予算を背景に防衛セクター全体が恩恵を受けた。Kratosは無人機・ドローン関連の防衛契約受注実績で知られており、アナリスト19名の平均評価は「Buy」、12カ月目標株価平均113.05ドルと高い評価を受けている。
為替・金利動向
ドル円は1ドル=159.92円(前日比-0.09%)で推移し、心理的節目である160円水準近辺での動きが続いた。日本政府・首相は為替の過度な変動への対応を示唆しており、日本当局の円安けん制姿勢が意識されている。米10年国債利回りは4.49%と前日比0.01ポイント低下し、イスラエル・レバノン停戦合意による地政学リスク後退と原油価格の低下がインフレ懸念を和らげた。5月のADP民間雇用者数は12.2万人増と発表され、翌5日(金)の雇用統計(NFP)公表を前に市場は様子見姿勢も交えた展開となった。
今後の注目点
- 6月5日(金)米雇用統計(NFP): 5月の非農業部門雇用者数発表。ADP民間雇用者数が12.2万人増とやや低調だったことで、NFPの数字がFedの利下げ見通しに直接影響する可能性がある。
- Fed政策動向: 次回FOMCは6月中旬予定。雇用統計・インフレ指標を踏まえた追加利下げ時期の見通しを市場は注視している。
- AI半導体需要の再評価: BroadcomのQ3ガイダンス失望を受け、NvidiaやAMDなど主要AI半導体銘柄の株価動向や、企業のAI設備投資継続への信頼性が引き続き焦点となる。
- 地政学リスク: イスラエル・レバノン停戦の維持状況およびイラン情勢の展開が、原油価格・長期金利・リスク選好度に影響する可能性がある。
