2026年7月15日の米国株式市場はS&P500、ダウ平均、NASDAQ総合の主要3指数がそろって上昇した。S&P500は前日比0.38%高の7572.40、ダウ平均は0.29%高の52658.64、NASDAQ総合はハイテク株主導で0.62%高の26269.23で取引を終えた。前日7月14日に発表された6月消費者物価指数(CPI)が前年比3.8%と5月の4.2%から鈍化したことでインフレ減速期待が強まり、投資家のリスク選好姿勢を後押しした。Appleは過去最高値を更新する場面もあった。恐怖指数VIXは前日比5.03%低下の15.67となり、市場の警戒感が後退したことを示した。個別ではPayPalが買収報道を受けて急伸した一方、Dellなど一部AIハードウェア関連株は急落するなど、指数の底堅さとは対照的に個別銘柄のボラティリティが目立った一日となった。
米国株3指数上昇、PayPal急伸・Dell急落
S&P500は0.38%高の7572.40と3指数そろって上昇、CPI鈍化とVIX低下でリスク選好強まる。PayPalはStripeとAdventの買収提案報道で17.20%急伸、BlackRockは好決算で6.63%高。一方Pentairはガイダンス引き下げとCFO退任で15.00%安、SandiskはNAND需給悪化懸念で14.15%安、DellはAI過熱警戒で9.80%安。
市場概況
セクター動向
金融セクターはBlackRockの好決算(EPS13.91ドル、予想12.70ドルを上回り、売上高は前年比31%増の70.8億ドル)を受けて堅調に推移し、運用資産残高が過去最高水準に達したことも好感された。決済分野ではPayPalがStripeとAdvent Internationalによる買収提案報道を受けて急伸し、決済関連銘柄への関心も高まった。半導体・メモリー関連はまだら模様となり、AIメモリー需要への期待から前日に急騰していたSK hynix関連銘柄は過熱感の調整で反落する一方、NAND型フラッシュメモリー大手のSandiskは需給緩和・価格下落懸念から大幅安となった。AIサーバー関連では、Meta Platformsが余剰AI計算能力を外部企業へリースする計画を検討していると報じられたことでハイパースケーラーのインフラ投資過熱への警戒感が広がり、DellをはじめHPE、Super Microなど「AIハードウェア」関連銘柄が軒並み売られた。資本財セクターではPentairが通期ガイダンスの大幅引き下げとCFOの突然の退任を受けて急落するなど、決算・ガイダンス発表を機にした個別材料による値動きが目立った。
注目銘柄
- PayPal Holdings, Inc. (PYPL): +17.20% — Stripeとプライベートエクイティ大手Advent Internationalが、1株60.50ドル(前日終値に約28%のプレミアム)でPayPalを共同買収する提案を行ったと報じられ急伸。買収総額は530億ドル超、金融機関から約500億ドルの融資確約が付いていると伝えられた。ただしPayPal、Stripe、Advent双方から正式なコメントはなく、取引成立は未確定。
- BlackRock, Inc. (BLK): +6.63% — 2026年第2四半期決算でEPS13.91ドル(市場予想12.70ドル)、売上高70.8億ドル(予想67.2億ドル、前年比+31%)と大幅な増収増益を発表。HPS買収の寄与、運用報酬の伸び、パフォーマンスフィーおよびテクノロジー・サブスクリプション収入の増加が好感され、運用資産残高は過去最高を更新した。
- Pentair plc (PNR): -15.00% — 第2四半期の売上高が従来ガイダンス(前年比+1%程度)に対し実際には約9.3億ドル(前年比-17%)にとどまる見通しを開示。通期売上高ガイダンスも「+2〜4%」から「-4〜7%」、EPSガイダンスも5.30〜5.40ドルから4.60〜4.80ドルへ下方修正した。プール(温水プール)関連製品のチャネルディストッキングが約1.7億ドルの減収要因となったほか、Nicholas Brazis CFOの突然の退任も嫌気され、株価は52週安値を更新した。
- Sandisk Corporation (SNDK): -14.15% — NAND型フラッシュメモリー市況を巡り、供給過剰と価格下落ペースが従来予想より速いとの見方が広がったことが主因。Argus Researchが「Hold」で新規カバレッジを開始したことも重荷となった。中国メーカーとの競争激化懸念や半導体セクター全体の調整も重なり、心理的節目とされる株価1500ドルを割り込んだ。
- Dell Technologies Inc. (DELL): -9.80% — Nvidia向けAIサーバー事業への過熱感が意識される中、Meta Platformsが余剰AI計算能力を外部企業へリースする計画を検討していると報じられ、ハイパースケーラーのインフラ投資が既に積み上がりすぎているとの懸念が浮上。AIサーバー関連株全般が売られる中でDellも下落し、メモリー価格上昇によるコスト増懸念やアナリストによる格下げ(バリュエーション懸念)も株価の重荷となった。
為替・金利動向
外国為替市場ではドルが対円で底堅く推移し、円は約1ドル=161円台と弱含みで推移した。米10年国債利回りは前日発表の6月CPIが前年比3.8%と市場予想を下回ったことを受けて低下し、4.57%前後で推移した。長期金利の低下はグロース株の多いNASDAQ総合の上昇を下支えする材料となった一方、インフレ鈍化と利回り低下を受けてVIXも大きく低下し、市場全体のリスク選好姿勢が強まったことがうかがえる。
今後の注目点
今週後半には新規失業保険申請件数、小売売上高、フィラデルフィア連銀製造業景況指数などの経済指標発表が予定されているほか、住宅着工件数・鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)の発表も控えている。5月に就任したウォーシュFRB議長が就任後初めて連邦議会で証言を行う予定であり、金融政策運営スタンスに関する発言内容が注目される。決算シーズンも本格化しており、金融・ハイテク主要企業の四半期決算発表が相次ぐ見通しで、PayPalの買収提案の進展や、AIサーバー関連銘柄の需給・投資動向を巡るニュースフローにも引き続き注意が必要となる。
