Market Pulse
note

個別銘柄の決算分析はnoteで公開中

米国市場7/17 07:02 JST 時点のデータ

半導体安がハイテク株を圧迫、AI投資懸念で3指数下落

7月16日の米株式市場は3指数が揃って下落。TSMCが決算を上振れる一方で設備投資計画を大幅に引き上げたことを嫌気し半導体株が急落、AI投資の採算性への懸念が広がった。VIXは急伸し警戒感が強まる中、個別ではアボット・ラボラトリーズが決算好感で急騰した一方、AST SpaceMobileは新株発行観測で急落した。

S&P 500
7,533.77
-0.51%
NYダウ
52,552.97
-0.20%
NASDAQ
25,881.95
-1.47%
VIX
16.73
+6.76%

市場概況

2026年7月16日の米国株式市場はS&P500種株価指数が前日比0.51%安の7533.77、ダウ工業株30種平均が0.2%安の52552.97、ナスダック総合指数が1.47%安の25881.95でそれぞれ取引を終えた。半導体株の下落が2日連続で市場の重荷となり、ナスダックの下げが目立つ展開となった。台湾積体電路製造(TSMC)が市場予想を上回る第2四半期決算を発表したものの、年間設備投資見通しを従来の520億〜560億ドルから600億〜640億ドルへ大幅に引き上げたことが嫌気され、AI関連投資の採算性への懸念から半導体株指数は約3%下落した。またイラクへの米軍による攻撃継続や原油高、米長期金利の上昇も相場の重荷となった。市場の恐怖指数であるVIXは前日比6.76%上昇の16.73となり、投資家のリスク回避姿勢が強まったことを示した。

セクター動向

半導体セクターはTSMCの大型設備投資計画発表を受けて全面安となり、NAND型フラッシュメモリーを手掛けるサンディスク(SNDK)が2桁のマイナスとなるなど関連銘柄への売りが波及した。生成AI関連のデータセンター向けクラウド・インフラ企業にも売りが波及し、ネビウス・グループ(NBIS)やブルーム・エナジー(BE)が急落するなど、AI投資テーマ全般に慎重姿勢が広がった。一方でヘルスケアセクターはアボット・ラボラトリーズ(ABT)の好決算を受けて底堅く推移し、運輸セクターでもJ.B.ハント・トランスポート(JBHT)やフェデックス・フレイト(FDXF)が決算内容を好感されて上昇するなど、決算発表を受けた個別材料による明暗が分かれる展開となった。たばこセクターでは規制緩和期待からブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)が上昇した。

注目銘柄

  • アボット・ラボラトリーズ (ABT): +10.71% — 第2四半期decisionで調整後EPSが1.31ドルとなり市場予想の1.28ドルを上回り、売上高も前年比13%増の125.9億ドルと予想を上回った。医療機器部門の好調を受けて通期の調整後EPS見通しを5.45〜5.60ドルに引き上げたことが好感された。
  • J.B.ハント・トランスポート・サービシズ (JBHT): +8.01% — 第2四半期決算で希薄化後EPSが1.91ドルとなり市場予想の1.74ドルを上回った。売上高は前年比19%増の35億ドル、営業利益は32%増と大幅増益となり、インターモーダル部門が四半期として過去最多の58万件超の輸送量を記録したことが好感された。
  • AST スペースモバイル (ASTS): -17.04% — 転換価格を1株あたり約80ドルとする10億ドル規模の転換社債(私募)による資金調達を発表し、既存株主の希薄化懸念が強まったことが売り材料となった。衛星打ち上げ計画の2027年初頭への遅延や、スペースXのスターリンクとの競争激化への懸念も重荷となり、5月下旬の高値から約6割下落する場面もあった。
  • ネビウス・グループ (NBIS): -13.90% — メタ・プラットフォームズが自社のAIインフラを外部企業に貸し出す新プログラム「Meta Compute」を計画していると報じられ、AIクラウド事業での競合激化懸念が売りを誘った。あわせてボロジュCEOら経営陣による自社株売却が明らかになったことも投資家心理を悪化させた。
  • サンディスク (SNDK): -11.83% — TSMCが年間設備投資計画を大幅増額したことを受けて半導体株全般が売られる中、NAND型フラッシュメモリー市場での価格下落圧力とエンタープライズ向けストレージ需要の軟化観測も重なり下落した。

為替・金利動向

外国為替市場ではドルが対円で堅調に推移し、円安基調が継続した。米長期金利の指標である10年国債利回りは前日からやや低下する場面もありつつ4.56%前後で推移し、直近2カ月ぶり高水準となった4.62%(7月13日)からはやや落ち着いた。前月の米卸売物価指数(PPI)が予想外に0.3%低下したことを受けたインフレ鈍化観測が金利の重荷となる一方、イラク情勢の緊迫化に伴う原油高が引き続きインフレ再燃への警戒を残す展開となった。

今後の注目点

7月17日には複数の企業決算と経済指標の発表が予定されており、第2四半期決算シーズンが本格化する。FactSetの集計ではS&P500採用企業の第2四半期増益率は前年比22.0%程度が見込まれており、2四半期連続で20%を超える高い増益率が予想されている。前日16日には動画配信のネットフリックスが取引終了後に決算を発表しており、その内容が翌営業日の株価動向に影響する可能性がある。また7月22日にはテスラの決算発表が予定されており、半導体・AI関連の設備投資動向やハイテク株のバリュエーション調整の行方が引き続き市場の焦点となる。