2026年7月21日の米国株式市場は3営業日ぶりに反発した。S&P500種株価指数は前日比0.89%高の7509.2、ダウ工業株30種平均は同0.74%高の52224.64、ナスダック総合指数は同1.29%高の25837.21で取引を終えた。半導体・メモリ株の急伸が相場全体を押し上げ、韓国・台湾の輸出統計がAI需要の底堅さを示したことも投資家心理を支えた。Micron Technologyが12%超急伸したのをはじめ、SandiskやIntel、Marvell Technologyなど半導体関連銘柄が軒並み上昇し、フィラデルフィア半導体株指数は5.2%上昇した。一方で中東情勢の緊張は引き続きくすぶっており、上値を抑える一因となった。恐怖指数(VIX)は17.05と前日比8.58%低下し、市場のリスク許容度が改善したことを示した。
半導体高で主要3指数反発、メモリ株が牽引
2026年7月21日の米国株式市場は主要3指数が揃って反発。メモリ・半導体株の急伸が相場を牽引し、S&P500は0.89%高、NASDAQは1.29%高。一方でDanaher、MSCIは決算失望で急落。10年債利回りは4.6%台に上昇。
市場概況
セクター動向
半導体・メモリセクターがこの日の相場の主役となった。TSMCが2027年の受託製造価格を最大10%引き上げると発表したことや、モルガン・スタンレーがメモリ価格の一段の上昇を予測したことを受け、Micron、Sandiskなど記憶素子メーカーの株価が軒並み急伸した。AIインフラ関連では、NebiusへのNvidia出資判明やBloom Energyの大型電力供給契約など、AI電力・クラウドインフラ関連の材料も相場を押し上げた。対照的にヘルスケア・ライフサイエンス機器セクターは軟調で、Danaherが受注時期の遅れを理由に急落。金融データ・指数プロバイダーのMSCIも通期費用見通しの引き上げが嫌気され下落した。SaaS・ソフトウェアセクターも総じて弱く、AI競合への懸念からFigmaが売られたほか、Atlassianなどクラウドソフトウェア株にも利益確定売りが観測された。
注目銘柄
- Nebius Group N.V. (NBIS): +18.78% — Nvidiaが同社に9.3%の受動的出資を行っていたことが判明したほか、AIスタートアップのReflection AIとの間で2029年までに10億ドル超のコンピューティング能力供給契約を締結したと発表し、AIクラウド関連の複数の好材料が重なった。
- Cerebras Systems Inc. (CBRS): +17.92% — 受託製造大手Flexとの提携拡大により主力AIアクセラレータ「CS-3」の生産能力を2026年中に約7倍に引き上げる計画や、2026年内の欧州データセンター展開拡大の発表が続き、OpenAIとの複数年契約を裏付ける生産・供給体制の強化が評価された。
- Bloom Energy Corporation (BE): +14.82% — AIクラウド企業NebiusのデータセンターにBloomの燃料電池による電力供給を行う17億ドル規模の投資契約が発表され、あわせてBrookfieldがBloom関連のAI電力プロジェクト向け融資枠を50億ドルから250億ドルに拡大したことも追い風となった。JPモルガンも目標株価を引き上げた。
- DigitalOcean Holdings, Inc. (DOCN): +14.58% — AI関連年間経常収益(ARR)の急拡大を背景に2026年第2四半期の主要業績を事前発表し、残存履行義務(RPO)が前年比10倍超の8億ドル超に達する見通しを示したことが好感された。
- Sandisk Corporation (SNDK): +14.28% — TSMCの受託製造価格引き上げ発表とモルガン・スタンレーによるメモリ価格上昇予測(第3四半期にかけて25%以上上昇との見方)を受けたメモリ株全体の急伸に加え、直近決算でのエンタープライズSSD需要の強さと次世代3D NAND技術の発表も株価を押し上げた。
- Danaher Corporation (DHR): -10.99% — 第2四半期決算は市場予想を上回るEPS・売上を計上し通期ガイダンスも引き上げたものの、バイオ製薬顧客からの受注時期の遅れや調整後営業利益率が前年同期比9.3ポイント低下したことが嫌気され、増収増益にもかかわらず急落した。
- MSCI Inc. (MSCI): -10.14% — 第2四半期の非GAAP EPSがわずかに市場予想に届かなかったことに加え、営業費用・調整後EBITDA費用など通期の費用見通しを引き上げたことが将来の収益性懸念につながり、増収を確保したにもかかわらず売られた。
- Figma, Inc. (FIG): -8.70% — Anthropicの「Claude Design」などAIネイティブなデザインツールとの競合激化観測が根強く売り材料となり、直近の増収基調にもかかわらず経営陣による自社株売却も投資家心理を冷やした。
- Samsara Inc. (IOT): -6.43% — 直近6営業日で約29%急騰していた反動から利益確定売りが優勢となり、バリュエーションの割高感を指摘するアナリストコメントも重荷となった。
- Atlassian Corporation (TEAM): -6.05% — 主力半導体・AIインフラ株が高値圏から一服する中、直近1カ月で10%超上昇していた反動が生じたほか、クラウド事業の成長鈍化を懸念する声が根強く、利益確定売りが優勢となった。
為替・金利動向
ドル円相場は1ドル=162円台半ばで推移し、円安ドル高基調が継続した。政府の骨太の方針素案から「財政健全化」の文言が削除されたと伝わったことを受け円売りが強まった一方、中東情勢の警戒感もくすぶり方向感に欠ける展開となった。米長期金利は上昇し、10年債利回りは4.6%台に乗せた。過去10年平均(2.8%)を大きく上回る水準まで金利が切り上がっており、インフレが鈍化する中でも財政悪化懸念や中東情勢の緊迫化が金利の押し上げ要因となっている。
今後の注目点
今週は決算発表が本格化し、7月22日(水)にはアルファベットとテスラが第2四半期決算を発表する。AI関連の巨額設備投資が実際の事業成長につながっているかを見極める最初の試金石として注目される。このほか週内にはインテルなど大型企業の決算も予定されており、S&P500採用企業のうち86社が決算を発表する主要な週となる。金融政策面では7月28〜29日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、29日には政策金利発表が予定されている。中東情勢の緊迫化や長期金利の一段の上昇が株式相場の重荷とならないか、引き続き注視が必要となる。
