2026年7月29日の米国株式市場は大幅安となった。ダウ工業株30種平均は取引時間中に1100ドル超下落し、終値は51594.14(前日比-2.19%)。S&P500は7316.15(同-1.52%)、ナスダック総合指数は24442.94(同-1.74%)で引けた。恐怖指数VIXは20.66に急伸し前日比+13.45%と大きく上昇、市場のリスク回避姿勢が鮮明になった。下落の主因はFRB(連邦準備制度理事会)がこの日の会合で政策金利の据え置きを決定したことに対する債券市場の反応で、FOMC内では3人のメンバーが利上げを主張して反対票を投じた。これを受け米10年国債利回りは7bp上昇し4.67%超まで上振れし、株式には逆風となった。加えて半導体株の下落が続いたことや、中東情勢の緊迫化を背景とした原油価格の上昇も相場の重荷となった。
FOMC据え置きで米国株急落、ダウ2.2%安
FRBが3人の利上げ反対票を伴いつつ政策金利を据え置き、長期金利上昇を嫌気して主要3指数が揃って下落。ダウは1100ドル超安、VIXは13%超上昇した。個別では決算を材料にした銘柄ごとの値動きが際立った一日となった。
市場概況
セクター動向
この日は指数全体が金利上昇を嫌気して下落する一方、個別決算を材料にした銘柄ごとの明暗が際立った。空調・建築関連機器セクターでは、レノックス・インターナショナル(LII)が通期利益見通しの未達を嫌気して急落したほか、データセンター向け電力・冷却機器を手掛けるバーティブ・ホールディングス(VRT)も増収増益・通期見通し上方修正にもかかわらず売上高が市場予想に届かなかったことで大幅安となり、AI関連データセンター投資に絡む銘柄への警戒感が意識された。半導体セクターは市場全体の金利上昇を受けた売りが続き軟調だった。一方、医療機器・ヘルスケア関連ではGEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)が受注拡大と増益決算を材料に急伸し、ITサービス・アウトソーシング関連ではコグニザント(CTSH)が通期EPS見通し引き上げを材料に買われるなど、決算内容が良好だった銘柄はセクター内でも独歩高となった。
注目銘柄
- Manhattan Associates, Inc. (MANH): +21.32% — 第2四半期決算で調整後EPSが1.39ドルと市場予想(1.32ドル)を上回り、売上高も2億9780万ドルと予想(2億8770万ドル)を上回った。通期の調整後EPS見通しを5.44~5.50ドルへ、売上高見通しを11.60億~11.70億ドルへ引き上げ、四半期として過去最高の受注実績を計上したことも好感された。
- Garmin Ltd. (GRMN): +16.23% — 第2四半期決算でEPS2.81ドル・売上高20.2億ドルとそれぞれ市場予想(2.30ドル・19.4億ドル)を上回った。フィットネス部門売上高が前年比25%増と牽引役となったほか、通期EPS見通しを10.00ドルへ引き上げ、トレーニングピークス社などの買収発表も好材料となった。
- GE HealthCare Technologies Inc. (GEHC): +12.15% — 第2四半期はEPS1.13ドルと予想(1.04ドル)を上回り、売上高も約53.0億ドルと前年比5.7%増で予想を上回った。有機受注が11.1%増と前四半期から加速し、受け注残高が過去最高の239億ドルに達したことが好感された。
- Lennox International Inc. (LII): -20.97% — 第2四半期の売上高が15.5億ドルと市場予想(15.6億ドル)にわずかに届かず、通期EPS見通しの中央値23.50ドルが市場予想を約4.7%下回ったことが嫌気され急落した。四半期の調整後EPS自体は7.72ドルと予想(7.61ドル)を上回っていたが、先行き懸念が優先された。
- Vertiv Holdings Co (VRT): -17.26% — 第2四半期の売上高が32.7億ドルと市場予想(33.7億ドル)に届かず、「一時的な出荷タイミングのズレ」を要因として説明した。非GAAPベースのEPSは1.52ドルと予想を6.4%上回り、次期売上高見通しも市場予想を上回る37.5億ドルとしたが、AI・データセンター関連銘柄としての高いバリュエーションもあり、売上未達が嫌気され15カ月超ぶりの下落率を記録した。
為替・金利動向
外国為替市場ではドル円相場が163.7円近辺で推移し、約40年ぶりの円安水準付近で高止まりした。米10年国債利回りはFOMCでの金利据え置き決定と3人の利上げ支持票を受けて7bp上昇し4.67%超まで上振れした。市場は9月のFOMCでの利上げ確率を約80%織り込んでおり、金利先高観がこの日の株式市場の重荷となった。
今後の注目点
次回FOMC会合は9月に予定されており、市場は現時点で約80%の確率で利上げを織り込んでいる。今後発表される経済指標、とりわけ8月7日発表予定の7月分雇用統計(非農業部門雇用者数)が金融政策の先行きを見極める上で重要な材料となる見通し。また、第2四半期決算発表シーズンが続く中、今回のように決算・ガイダンス内容次第で個別銘柄の値動きが大きく振れる展開が当面続くとみられ、金利動向とインフレ指標に対する市場の反応にも引き続き注意が必要となる。
