Market Pulse
note

個別銘柄の決算分析はnoteで公開中

米国市場4/25 08:14 JST 時点のデータ

半導体急騰・ソフト株急落、イラン情勢で原油上昇

2026年4月23日の米国株式市場は、S&P500が0.41%安の7108.40で引け。テキサス・インスツルメンツが決算好調で19.4%急騰した一方、サービスナウはイラン紛争による商談遅延を嫌気され17.8%急落。原油高とソフトウェア株の売りが相場の重しとなった。

S&P 500
7,108.40
-0.41%
NYダウ
49,310.32
-0.36%
NASDAQ
24,438.50
-0.89%
VIX
19.31
+2.06%

市場概況

4月23日の米国株式市場は、S&P500が前日比0.41%安の7108.40、ダウ平均が0.36%安の49310.32、ナスダック総合が0.89%安の24438.50で引けた。S&P500とナスダックは日中に史上最高値を更新する場面もあったが、後半に売りが優勢となり下落して終了した。下落を主導したのはソフトウェア・クラウド株で、サービスナウが17.75%安、セールスフォースが8.66%安、IBMが7.83%安と急落した。サービスナウとIBMはいずれも決算発表直後に売られた。一方、テキサス・インスツルメンツが決算好調を受けて19.4%急騰し、半導体セクターへの買いが波及して相場を下支えした。イラン戦争の緊張再燃を背景に原油(ブレント)が1バレル106ドルを突破。地政学リスクの高まりを受けてVIXは2.06%上昇し19.31で引けた。

セクター動向

【半導体】テキサス・インスツルメンツの決算好調が業種全体に波及し、マイクロチップ・テクノロジーが9.89%高、ONセミコンダクターが9.88%高と大幅上昇。AI向けデータセンター需要の増加がアナログ・電力半導体への需要を後押しするとの期待が広がり、半導体株を中心に強い物色が見られた。【ソフトウェア・クラウド】サービスナウの決算でイラン紛争による大型商談遅延が明らかになると、クラウド・エンタープライズソフト全体に売りが波及。サービスナウ17.75%安、セールスフォース8.66%安、IBM7.83%安と業種全体が大幅安となった。【ヘルスケア・製薬関連】ウエスト・ファーマシューティカル・サービシーズがGLP-1治療薬向け高付加価値部品の好調と通期ガイダンス引き上げで12.86%高と急騰。一方、バイオテクネが10.89%安、チャールズ・リバー・ラボラトリーズが9.23%安と、バイオ・CRO関連株は売りに押された。【素材・鉱業】フリーポート・マクモランが12.62%安。インドネシア・グラスバーグ鉱山の生産遅延で銅・金の年間生産見通しを引き下げたことが嫌気された。【輸送】ユニオン・パシフィックが8.77%高。Q1決算が市場予想を上回り、2026年通期EPS見通しも据え置きとなったことが好感された。【エネルギー】ホルムズ海峡封鎖リスクを背景にブレント原油が106ドル超えまで上昇し、エネルギーセクターを支えた。

注目銘柄

  • テキサス・インスツルメンツ (TXN): +19.43% — 2026年Q1決算が大幅上振れ。売上高は前年同期比19%増の48.3億ドル(市場予想45.3億ドル)、EPS1.68ドル(予想1.27ドル)を達成。データセンター向け収益が前年同期比90%増と急拡大し、Q2見通しも50〜54億ドルと市場予想を上回った。バンク・オブ・アメリカがBuyに格上げ(目標株価235→320ドル)するなど複数のアナリストが格上げ・目標株価引き上げを実施し、2000年以来最大の上昇率を記録した。
  • ウエスト・ファーマシューティカル・サービシーズ (WST): +12.86% — 2026年Q1売上高が前年同期比21%増の8億4490万ドル、調整後EPS2.13ドル(前年同期比46.9%増)と予想を大幅に上回った。GLP-1(肥満・糖尿病)治療薬の急速な普及を背景に高付加価値医薬品容器部品への需要が好調で、2026年通期EPS見通しを8.40〜8.75ドルへ引き上げた(従来コンセンサス7.99ドル)。
  • サービスナウ (NOW): -17.75% — Q1売上高37.7億ドル・EPS97セントとも予想を上回ったにもかかわらず急落。経営陣がイラン戦争に起因した大型オンプレミス商談の締結遅延がサブスクリプション収益成長率を約75ベーシスポイント押し下げたと説明し、地政学リスクの継続可能性を示唆。ニーダム(目標株価115ドル)、BTIG(150ドル)、みずほ(140ドル)、ウォルフ・リサーチ(125ドル)、スティーフェル(120ドル)が目標株価を大幅に引き下げた。
  • ルルレモン・アスレティカ (LULU): -13.33% — 元ナイキ幹部のハイディ・オニール氏をCEOに起用すると発表したが市場の反応は冷淡。アクティビスト投資家エリオット・インベストメント・マネジメントが推す候補ではなかった上、ナイキ自身がブランド低迷に直面している時期の採用がネガティブ視された。BTIGアナリストは「ナイキ在籍期間がLULUが抱える課題と重なる」と指摘し、北米事業の収益低迷という既存課題も重なり株価が急落し52週安値を更新した。
  • フリーポート・マクモラン (FCX): -12.62% — Q1EPSは0.61ドル(前年同期0.24ドル)と堅調だったが、インドネシア・グラスバーグ鉱山での湿潤鉱石問題による生産遅延を受け、2026年銅生産見通しを34億ポンドから31億ポンドへ、金生産見通しを80万オンスから65万オンスへそれぞれ引き下げた。少なくとも2027年末まで生産が設計能力を下回る見通しを示し、モルガン・スタンレーが格下げを実施した。

為替・金利動向

ドル円はイラン戦争を背景とした原油価格上昇が日本のインフレ懸念を高めるとの見方から円安圧力が続き、159.70付近で推移。160円台は日本当局の為替介入警戒水準として意識されており、同水準での急激な円売り加速は限られた。米10年国債利回りは4.34%前後で取引され、ホルムズ海峡封鎖リスクに伴うエネルギー価格上昇がインフレ長期化懸念を高めた。原油市場ではブレント原油が1バレル106ドル超え、WTI原油が97ドル近辺で推移。国際エネルギー機関(IEA)は今回の供給障害を「グローバルエネルギー市場史上最大」と評した。ドルは原油高によるインフレ圧力とリスク回避の需要を背景に底堅い展開が続いた。

今後の注目点

①イラン紛争の動向:ホルムズ海峡を巡る米・イランの対峙が長引くほど原油高・インフレ圧力が続き、FRBの利下げ余地が狭まるリスクがある。②ビッグテック決算:アルファベット、メタ、マイクロソフト、アップル、アマゾンなど大型ハイテク企業の決算が4月下旬〜5月上旬に集中し、AI投資の進捗やクラウド成長率が市場の方向性を左右する見通し。③ソフトウェア・SaaSセクター:サービスナウの商談遅延問題がSaaS業界全体の地政学リスクとして認識されつつあり、他の同業他社の決算内容が引き続き注目される。④FRB政策:高止まりする原油価格がPCEデフレーターを押し上げる場合、利下げ時期がさらに後ずれする可能性があり、5月の雇用統計とCPIが次の焦点となる。⑤半導体サイクル:TXNのデータセンター向け収益急増がサイクルの転換点を示唆するとの見方が強まっており、インテルやNXPセミコンダクターズなど他社決算での確認が待たれる。