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米国市場5/13 07:03 JST 時点のデータ

高インフレ・地政学緊張でナスダック軟調、決算好材料銘柄は急騰

2026年5月12日の米国株式市場は、予想を上回るCPI(前年比3.8%)と米・イランの地政学的緊張を受けて高安まちまちの展開。S&P500は-0.16%、ナスダックは-0.71%と半導体・ハイテク株が売られる一方、エネルギー・素材・資本財セクターは上昇。決算好材料のVenture Global(+14.20%)、Sea Limited(+13.14%)、Zebra Technologies(+11.44%)が急騰した。

S&P 500
7,400.96
-0.16%
NYダウ
49,760.56
+0.11%
NASDAQ
26,088.20
-0.71%
VIX
17.99
-2.12%

市場概況

5月12日の米国株式市場は予想を上回るインフレ指標と地政学的緊張を背景に高安まちまちの展開となった。4月のCPI(消費者物価指数)が前年比3.8%と市場予想を上回る水準で発表され、FRBの利下げ観測が後退した。加えて米・イランの緊張が再燃したことでリスクオフムードが広がった。ダウ平均は+0.11%の49,760.56ドルとかろうじてプラスを維持した一方、テクノロジー・半導体比率の高いナスダック総合は-0.71%の26,088.20と下落。S&P500は-0.16%の7,400.96で引けた。恐怖指数VIXは17.99(-2.12%)と低下し、短期的な市場の動揺は限定的だった。エネルギーセクター(XLE)は+2.6%、素材(XLB)+1.4%、資本財(XLI)+1.0%と景気敏感セクターが堅調だった一方、通信サービス(XLC)は-2.3%と下落した。原油価格は米・イラン緊張によるホルムズ海峡閉鎖リスクを背景に1バレル101.53ドル(前日比+3.46ドル)へ上昇した。

セクター動向

エネルギーセクターは米・イランの地政学的緊張激化による原油高を追い風に+2.6%と全セクター中最大の上昇となった。ホルムズ海峡閉鎖リスクが供給不安を高め、エネルギー企業の収益期待を押し上げた。素材(+1.4%)・資本財(+1.0%)セクターも堅調で、インフレ環境下での実物資産・製造関連への資金シフトが確認された。一方、半導体・テクノロジーセクターはCPI高騰による金利低下観測の後退と、AI主導の長期上昇相場に対する過熱感からの利益確定売りが重なり弱含んだ。QUALCOMMが-11.45%、FormFactorが-12.80%と急落するなど半導体株全般が売られ、ナスダックを大きく押し下げた。通信サービスセクターも-2.3%と下落し、デジタルプラットフォーム・広告関連銘柄への売りが目立った。ヘルスケアセクターはBofA Securities 2026 Healthcare Conferenceが開催されたこともあり、インスメッドなど個別材料株への物色が続いた。

注目銘柄

  • Venture Global (VG): +14.20% — 2026年第1四半期決算でEPSが0.19ドル(市場予想0.14ドル)、売上高が45.99億ドル(予想40.6億ドル)と両面で予想を大幅に上回った。通期連結調整後EBITDAガイダンスを82〜85億ドルに大幅引き上げ(従来52〜58億ドル)。さらに、TotalEnergiesへの年間約0.85MTPA・Vitolへの1.7MTAPの新規LNG供給契約締結も同日発表し、LNGブームの中核的受益者としての地位が高く評価された。
  • Sea Limited (SE): +13.14% — 米国市場開幕前に発表した2026年第1四半期決算が市場予想を明確に上回り急騰した。GAAP売上高は前年同期比46.6%増の71億ドル、純利益は同6.7%増の4.38億ドル、調整後EBITDAは10億ドル(前年比+9.3%)を計上。Shopeeが牽引する東南アジアEC需要の力強い拡大が業績をけん引しており、JPモルガンも「Overweight」格付けを維持したことが投資家心理を支えた。
  • Zebra Technologies (ZBRA): +11.44% — 2026年第1四半期決算が予想を上回り、通期業績見通しを上方修正したことで大幅高となった。非GAAPベースEPSは4.75ドル(前年比+18.2%)、売上高は前年比14.3%増の14.95億ドル。通期売上高成長率10〜14%・非GAAP希薄化後EPS18.30〜18.70ドルの見通しはアナリスト予想(18.09ドル)を上回った。産業ロボット向けAI企業Apera AIへの戦略出資も評価材料となった。
  • AST SpaceMobile (ASTS): -11.62% — 2026年第1四半期決算が市場予想を大きく下回り急落した。EPSは-0.66ドル(予想-0.21ドル)、売上高は1,470万ドル(予想3,750万ドル)と予想の半分以下の着地。同社は通期売上高ガイダンスを維持し、第1四半期末の手元現金約35億ドルを強調したが、失望売りを抑えるには至らなかった。アナリストからはSpaceXのIPO実現による競合激化リスクも指摘されており、センチメントの改善には時間を要する見通しだ。
  • QUALCOMM (QCOM): -11.45% — 4月CPIが前年比3.8%と予想を上回ったことで金融緩和期待が後退し、高バリュエーションのグロース株への売り圧力が強まった。AI・半導体関連株が長期にわたり上昇してきたことへの過熱感も重なり、利益確定売りが半導体セクター全体に波及した。一部報道ではAI関連利益への課税を検討する韓国の政策動向も半導体セクターのセンチメントを悪化させたと伝えられ、同社株は2020年以来最大の1日下落率を記録した。

為替・金利動向

予想を上回る4月CPI(前年比3.8%)の発表を受け、FRBの利下げ期待が後退したことで米10年国債利回りは上昇圧力を受けた。ドル円は155円前後で推移し、ドル高・円安傾向が継続した。日本の10年国債利回りは米・イラン緊張激化による原油高とインフレ懸念の波及を受けて約2.49%付近まで上昇した。原油(WTI)は1バレル101.53ドルと前日比3.46ドル高と急騰し、エネルギー輸入国のインフレ圧力が一段と高まる懸念が広がった。金価格は4,708ドルと前日比10.15ドル安と小反落し、金利上昇局面での保有コスト増加が意識された。ビットコインは約80,947ドル(前日比約780ドル安)と下落し、リスクオフの流れに連動した動きとなった。ドル指数は全般的にドル高方向で推移し、新興国通貨への圧力が続いた。

今後の注目点

①米・イラン地政学リスクの行方:ホルムズ海峡閉鎖リスクが継続する場合、原油価格のさらなる上昇がエネルギーセクター高を長引かせる一方、インフレ長期化懸念が株式市場全体の重荷となり得る。②FRBの金融政策:4月CPIが3.8%と予想を上回ったことで次回FOMC会合(2026年6月)での利下げ観測が大幅に後退。今後発表されるPPIや雇用統計がFRBの政策判断に影響する見込みで、インフレ指標の推移を注視する必要がある。③決算シーズンの継続:Venture Global・Sea Limited・Zebra Technologiesなど好決算銘柄が相場の下支え役となっているが、AST SpaceMobileのような大幅な下方乖離も散見される。引き続き個別企業の決算内容と通期ガイダンスが株価の方向性を左右する局面が続く。④半導体・AI株のバリュエーション調整:QUALCOMMやFormFactorの急落が示すようにAI主導の上昇相場への過熱感が意識されており、半導体セクターの調整深度と期間が市場全体のセンチメントに与える影響に注目が集まる。⑤宇宙通信セクターの競争環境:SpaceXのIPO実現による宇宙通信セクター全体への影響(競合激化・既存株主の希薄化リスク)についても、AST SpaceMobile株の動向とともに引き続き注目が必要だ。