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米国市場5/16 07:03 JST 時点のデータ

インフレ懸念と地政学リスクで主要3指数揃って下落

2026年5月15日の米国株式市場は、トランプ大統領の対イラン強硬姿勢とトランプ・習会談を受けた地政学的緊張の高まり、原油価格の急騰(約109ドル)、米10年債利回りの4.55%への上昇を背景に、S&P500が-1.24%、ナスダックが-1.54%、ダウが-1.07%と全面安となった。一方、決算上振れを示したFigmaやAtlassian、HubSpotは逆行高となった。

S&P 500
7,408.50
-1.24%
NYダウ
49,526.17
-1.07%
NASDAQ
26,225.14
-1.54%
VIX
18.43
+6.78%

市場概況

5月15日(金)の米国株式市場は主要3指数が揃って下落した。S&P500は前日比-1.24%の7,408.50、ダウ平均は537ドル安(-1.07%)の49,526.17、ナスダック総合は-1.54%の26,225.14で引けた。VIXは18.43と前日比+6.78%上昇し、リスク回避ムードが強まった。

下落の主因は三点。第一に、トランプ大統領が習近平国家主席との首脳会談後もイランへの強硬姿勢を崩さず、中東情勢の悪化リスクが意識された。第二に、ホルムズ海峡の供給途絶懸念から原油(WTI)が約109ドルまで急騰し、インフレ再燃への警戒感が高まった。第三に、米10年債利回りが9bp上昇して4.55%(約1年ぶり高水準)に達し、成長株のバリュエーションを圧迫した。テクノロジーセクターではインテルが約7%急落したほか、エヌビディア・AMD・マイクロンも大幅安となった。一方、好決算を発表したFigma(+13.24%)、Atlassian(+8.16%)、HubSpot(+8.13%)などSaaS・クラウド銘柄は逆行高となり、決算材料のある銘柄への選別買いが目立った。

セクター動向

テクノロジーセクターが最大の下げを主導した。AI・半導体関連株はバリュエーション過熱への警戒から利益確定売りが加速し、インテルが約7%急落、エヌビディア・AMD・マイクロンも大幅安。量子コンピュータなど投機的成長株にも波及し、IonQは-9.78%の急落となった。

貴金属鉱山株も軒並み売られた。イランリスクによる地政学的不透明感が高まる中でも、米ドル高と金利上昇が金・銀価格を圧迫し、ファースト・マジェスティック・シルバー(-9.89%)やアングロゴールド・アシャンティ(-9.63%)が大幅安となった。

エネルギーセクターは原油急騰を受けて相対的に底堅く推移した。LNG輸出企業ベンチャー・グローバル(+9.38%)は新規LNG契約と好決算が重なり大幅高となった。

SaaS・クラウドソフトウェアは決算銘柄を中心に二極化が鮮明となった。Figma・Atlassian・HubSpotが市場全体の地合い悪化にもかかわらず大幅上昇した一方、材料のない銘柄はテック全体の売りに巻き込まれた。

注目銘柄

  • Figma (FIG): +13.24% — 前日引け後発表の2026年Q1決算が市場予想を大幅に上回ったことが要因。売上高は前年同期比+46%の3億3,340万ドルで予想(3億1,600万ドル)を上回り、EPSは0.10ドルと予想(0.06ドル)を67%超過。AI機能の有料クレジット化後も企業・組織顧客の75%超が追加購入を選択し、ネットドルリテンション(NDR)が139%と2年超ぶりの高水準に回復。通期売上高ガイダンスも14.22〜14.28億ドル(前年比+35%成長)へ引き上げた。
  • Venture Global (VG): +9.38% — 2026年Q1決算で売上高が前年同期比+59%の46億ドルと記録的成長を達成。TotalEnergiesおよびVitolとの合計2.55 MTPA規模の新規LNG長期供給契約締結も好材料となった。通期調整後EBITDAガイダンスを従来の52〜58億ドルから82〜85億ドルへ大幅引き上げ。イランリスクに伴うエネルギー安全保障需要の高まりも追い風となった。
  • Atlassian (TEAM): +8.16% — 5月初旬発表の2026年度Q3(1〜3月期)決算の好内容が引き続き評価された。売上高は前年同期比+32%成長でCloud・データセンター部門ともに予想超過、AIドリブンの需要拡大と利益率改善が確認された。Cantor・Barclays・Bernsteinなど複数のアナリストが目標株価を引き上げており、地合い悪化の中でもSaaS銘柄への選別買いが継続した。
  • IonQ (IONQ): -9.78% — 個別の悪材料はなく、マクロ・地政学要因主導の売りが主因。イラン関連のインフレ懸念と米中関係の先行き不透明感から、収益化に時間を要する量子コンピュータなど投機的成長株への売りが加速した。米10年債利回りの4.55%への急騰が長期成長株の割引率を押し上げ、バリュエーションの高い銘柄ほど下落幅が大きくなる展開となった。
  • First Majestic Silver (AG): -9.89% — 銀価格の下落が直撃した。原油高と米ドル高が重なり貴金属全般が売られ、米10年債利回りの上昇も金・銀の保有機会コストを高めた。同業のアングロゴールド・アシャンティ(AU)も-9.63%と連動して急落しており、貴金属鉱山セクター全体に売り圧力が集中した。

為替・金利動向

米ドル/円(USD/JPY)は158.52円と前日比+0.10%の小幅上昇となり、円は週間ベースで1%超の下落。イラン関連地政学リスクとインフレ再燃懸念を背景としたFRB利上げ観測の高まりが円売り・ドル買いを促した。

米10年国債利回りは9bp上昇して4.55%に達し、約1年ぶりの高水準となった。イランリスク由来のエネルギー価格高騰がインフレ長期化懸念を強め、FRBの利下げ期待が後退した形だ。

原油(WTI)はホルムズ海峡の供給途絶リスクを材料に急騰し約109ドルに達した。金・銀価格は米ドル高と金利上昇を受けて下落した。なお日本の10年国債利回りも約2.7%へ上昇しほぼ10年ぶりの高水準に達した。4月の日本生産者物価指数(PPI)が前年比+4.9%と市場予想(+3.0%)を大幅に上回ったことが、日銀追加利上げ観測を強めた。

今後の注目点

イラン情勢の展開: トランプ大統領が習近平氏との会談後もイランへの強硬姿勢を維持しており、ホルムズ海峡周辺の動向と原油価格への影響が最大のテーマとなる。紛争激化は原油・LNG価格のさらなる上昇とインフレ加速につながりかねない。

FRBの金融政策動向: 10年債利回りが4.55%の高水準に達し、インフレ再燃懸念が強まっている。来週以降発表される住宅・小売・製造業関連指標がFRBの政策判断に影響を与えるとみられる。

決算シーズンの継続: FigmaやAtlassian、HubSpotが好決算で逆行高を示す一方、AI・半導体大手は利益確定売りに押された。来週予定される主要企業の決算発表が市場センチメントを左右する可能性がある。

米中関係の行方: トランプ・習会談の結果を受け、両国関係が建設的な方向へ進むか対立が再び深まるかが注目される。テクノロジー規制や追加関税をめぐる発表があれば半導体・AI関連株に大きな影響を与える見込みだ。

エネルギー・LNG関連株の動向: 原油高とLNG需要増が続く中、ベンチャー・グローバルなどLNG輸出企業への資金流入が続くかが焦点。エネルギー安全保障テーマの強弱が来週のセクターローテーションを決める鍵となる。