2026年9月1日の米国株式市場は3指数がそろって続落した。S&P500種株価指数は前日比0.71%安の7631.47、ダウ工業株30種平均は同0.79%安(419.02ドル安)の52766.88、ナスダック総合指数は同1.03%安の26099.77で取引を終えた。ナスダックの下落率はS&P500の約3倍に達し、主力ハイテク・グロース株への売りが目立った。背景には、ホルムズ海峡付近で米国とイランの緊張が再燃しタンカーへの攻撃が伝わったことで原油価格が急伸し、インフレ懸念が強まったことがある。加えてCMEフェドウォッチによれば9月のFOMCで0.25%の利上げが実施される確率が57.5%まで上昇し、金融引き締め観測が相場の重荷となった。世界的な国債売りも進み、米10年国債利回りは2025年1月以来の高水準となる4.77%まで上昇。恐怖指数(VIX)は前日比9.52%上昇の16.34となり、投資家のリスク回避姿勢の強まりを示した。
米国株、中東情勢緊迫化とFRB利上げ観測で下落
中東の地政学緊張再燃と原油高、FRBの利上げ観測、長期金利上昇を背景に米国3指数がそろって続落。ナスダックはグロース株売りで1%超安となった一方、モデルナなど個別材料株は大幅高となり、明暗が分かれた一日となった。
市場概況
セクター動向
相場の重荷となったのは長期金利の急上昇で、高PER・高成長のグロース株が集中的に売られた。半導体・AIインフラ関連ではクレド・テクノロジーが急落し、ソフトウェア関連でもAIによる事業破壊懸念からJFrogが売られるなど、テック・グロースセクター全般に調整が広がった。一方、公益事業セクターでは前日31日にカリフォルニア州の山火事責任関連法案(SB492)の不成立を受けて急落していたエジソン・インターナショナルとPG&Eが、売られ過ぎ感からの自律反発で急伸し値上がり率上位に並んだ。ヘルスケアセクターでは、モデルナのがん治療用mRNAワクチン関連の好材料継続とCOVID-19ワクチンのFDA承認、ノバルティスの多発性硬化症治療薬の良好な第3相試験結果発表など、個別のパイプライン材料による物色が目立ち、市場全体の軟調地合いとは対照的な値動きとなった。
注目銘柄
- モデルナ (MRNA): +9.93% — がん治療用mRNAワクチン(メルクと共同開発)を巡る好材料が継続する中、更新版の2026-2027年シーズン用COVID-19ワクチン「Spikevax」「mNEXSPIKE」がFDA承認を取得。アーガス・リサーチが投資判断を「Hold」から「Buy」に引き上げ目標株価180ドルを設定したことも買い材料となった。
- PG&Eコーポレーション (PCG): +5.95% — 前日31日にカリフォルニア州の山火事責任関連法案(SB492)が資金調達リスクに対応しない内容だったことを嫌気して18%超急落し、BofAが目標株価を24ドルから13ドルに引き下げていたが、この日は売られ過ぎ感から自律反発した。
- アクソン・エンタープライズ (AXON): -8.52% — 米10年国債利回りが4.8%、30年債利回りが5.25%まで上昇したことを受け、高PERのグロース株全般が売られる中で下落。バリュエーションの高さと営業利益率の伸び悩みへの懸念も引き続き重荷となった。
- クレド・テクノロジー・グループ (CRDO): -8.65% — 9月2日発表予定の決算を控え、投資判断「売り」を継続するアナリストの慎重なリポートが観測されたほか、AI関連の半導体・データセンター接続関連株全般での利益確定売りが重なった。
- パーシング・スクエア (PS): -10.25% — 第2四半期決算で増収となったものの損益が黒字から赤字に転落したことが嫌気された。ビル・アックマン氏によるポートフォリオの大幅な入れ替えや新ファンド設立など事業構造の転換期にあることも投資家の不透明感を強めた。
為替・金利動向
外国為替市場ではドルが対円で堅調に推移し、ドル円は159.75近辺で取引された。米国とイランの緊張再燃を受けた原油高がインフレ懸念を再燃させ、ドル買いを支援した。債券市場では世界的な国債売りが進行し、米10年国債利回りは前日比0.02ポイント上昇の4.77%と2025年1月以来の高水準を記録。日本の10年国債利回りも30年ぶりに3%に到達するなど、主要国で長期金利の上昇が同時進行し、株式市場のグロース株売りにつながった。
今後の注目点
9月2日にはクレド・テクノロジー・グループ(CRDO)の四半期決算発表が予定されており、AI関連の需要動向を占う材料として注目される。マクロ面では、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率がCMEフェドウォッチで57.5%まで上昇しており、今後発表される雇用統計や物価指標が金融政策見通しを左右する展開が見込まれる。また、ホルムズ海峡を巡る米国とイランの軍事的緊張の推移も、原油価格とインフレ期待を通じて相場の変動要因として引き続き警戒される。
